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妊活お役立ちコラム

#49

わかりやすい妊娠のしくみ① 「精子」~DNAの運び屋さん

コラムイメージ写真

排卵された卵子が女性の体内で精子と出会い、受精して妊娠する。この受精のしくみを4回にかけてわかりやすくお話ししていきます。

まず、第1回目は「精子」についてです。

精子の大きさとスペック


精子は運動能力のある生殖細胞です。大きさ(全長)はおよそ0.06㎜
頭部・中片部・尾部の3つから構成されています。

  • 頭部:受精時に精子と卵子を融合できる状態にする「先体」と、からだの設計図であるDNAを含む「核」からできています。
  • 中片部「ミトコンドリア」とよばれるエネルギーを作り出す小器官があり、卵子のもとへ行くための推進力に必要なエネルギーを作っています。
  • 尾部:曲げ伸ばして運動し、推進力を生みます。

精子はいつからどのくらい作られる!?

個人差はありますが、10才くらいから1日約5千万~数億個ずつ、死ぬまで作られます。

人生70年だとすると、男性が一生に作る精子の数は、1兆~2兆個にもなるのです。

精子がつくられる仕組み~今出た精子は「過去3ヶ月の体調」に影響される!?

精巣の中で精子は精子のもとから約74日かけて細胞分裂によって絶え間なく作られています。(*1)

見かけ上は一人前になった精子は、精巣上体で約2週間出番を待っている間に成熟して動き始めます。

このように精巣で精子が作られてから射精されるまでは約3ヶ月が経っていることになります。

ということは。。。

過去3ヶ月の体調が、今の精子の状態に影響をあたえる可能性があります。

もちろん精巣上体には成熟した精子がたくさんスタンバイしているので、立て続けに射精することができます。

精子の役割とは~DNAの運び屋さん⁉


精子の役割は、からだの設計図の半分を持ち込んで、卵子の新しい生命活動のスイッチをオンにすることです。割とシンプルです。

もともと精子はDNAという設計図データを圧縮したものに、エネルギー源のミトコンドリアをくっつけて、更に動くためのしっぽをつけただけのようなものです。

ほかにも細胞分裂を正しく導く要素もありますが、DNA以外は、精子が卵子に行き届くためのものであり、DNAを無事運び込みさえすれば、あとは用済みなのです。

ただし、絶え間なく新しいものが大量に作られるということは、それだけ精子のDNAが多様性に富んでいるということが言えます。

射精直後の精子は、受精能力がない⁉~精子の長く過酷な旅


射精された精子は、卵子と出会うために、膣から入って、子宮内から卵管を目指して移動していきます。

1度に射精される精子の数は、数億個といわれていますが、女性の膣内は細菌やウイルスが侵入しないように酸性度の高い状態に保たれています。

膣に入った精子は、酸に弱いので、酸から精子を守るアルカリ性の液体(精漿/せいしょう:精液の精子以外の液体成分)に守られながらも、99%は子宮に到達する前にバタバタと死んでしまうのです。

しかも精子は女性の生殖器に入ってはじめて受精する能力を獲得します。実際能力を獲得するは射精後の5~6時間後。そしてその後30~40時間程度は受精能力を保持するといわれています。(*2)

幸運にも卵子の目前までたどり着けるのはおよそ数十から数百個程度といわれています。

まとめ

*今射精されたばかりと思っていた精子は、じつは3ヶ月も前から準備されていた

精子が大量に作られ、億単位で射精される理由は、膣の中の厳しい環境を乗り越えるためだった

*精子の大きな役割は、多様性を持つDNAの運び屋さんだった

*精子の受精能力は女性器に入ってから5-6時間後からの50時間程度

次は「卵子」についてお話していきます。

*1)男を維持する「精子力」(ブックマン社)獨協医科大学越谷病院泌尿器科主任教授 岡田弘著

*2)[受精・着床シリーズ]受精現象のメカニズムおよびその異常 杏林大学医学部 産婦人科助教授 神野正雄

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