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不妊の原因は?女性だけでなく男性にも原因がある

コラムイメージ写真

子供が欲しいと望んでいるにも関わらず妊娠できない、いわゆる不妊ですが、現在は3組に1組の夫婦が不妊の悩みを抱えているとも言われています。この記事では不妊の原因や対策を知ることによって正しい不妊治療や生活の中で改善できることについてお伝えします。

不妊とはどのような状態?不妊の定義

まず、不妊の定義について確認しておきましょう。
日本生殖医学会によると、正常な夫婦生活を送っているにも関わらず、1年以上妊娠しない状態を「不妊症」としています。以前は2年以上妊娠しない状態を「不妊症」としていたのですが、元々WHO等海外の機関では1年と定義されており、平成27年に日本生殖医学会も不妊症の定義を2年から1年に変更しました。これは生殖機能に問題のないカップルが妊娠を希望した場合に3ヶ月以内に50%、6ヶ月以内に70%、2年で90%が妊娠する、というデータから来ています。

妊娠を希望している、ということは排卵日にあわせて性交するなど、積極的に妊娠するように性生活を送っているということになります。それでも2年に渡り、妊娠しないということは何らかの問題がある可能性がある、ということです。

これまで不妊治療というと、女性主導で行うものという認識が強くありました。しかし、不妊治療は女性だけで取り組んでもうまく行きません。なぜなら、赤ちゃんを授かるためにはカップルで心と力を合わせる必要があるからです。そして実は男性側に原因がある不妊症も決して少なくないからです。

WHOの調査によれば、不妊症に悩むカップル全体の41%が、女性側の原因で不妊となっています。一方で男性に原因があるケースも24%あり、男女ともに原因があるケースは24%もあります。つまり合わせれば、男性にも原因がある、というカップルは48%にも上るのです。

WHOの調査によると、男性の約半数に不妊の原因があるとされている

女性不妊の原因とは

では、女性側に不妊の原因がある場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?女性不妊の原因は原因がわからない機能性不妊と原因が検査で特定できる器質性不妊に分けることができます。

原因が特定できる器質性不妊は下記の4つに分類することができます。
・排卵に問題がある…排卵因子
・卵管に問題がある…卵管因子
・子宮に問題がある…子宮因子
・子宮頸管に問題がある…頸管因子

この4つの中では排卵に問題があることが割合として最も多いのですが、女性不妊の原因のうち50%を占めるのは原因不明の不妊で、加齢による卵子の質の低下が問題だと考えられています。

男性不妊の原因とは

かつては不妊というと女性側に問題があるという風潮がありましたが、不妊の原因の約半分、50%は男性側にあると言われています。

男性不妊の原因と考えられているのは主に下記の3つですが、90%は精子に問題がある造精機能障害です。

・精子に問題がある…造精機能障害
・精子が排出できない…精路通過障害
・ED、膣内で射精できない…性機能障害

精子の問題としては精子の数が少ない、精子が作られない、精子の運動率等が良くない、ということが考えられ、いずれの場合も不妊に繋がります。

射精とともに放出される精子は精液1mlあたり約1億個以上ですが、最終的に卵子にたどり着くのはたった1つだけという、いわば過酷な競争を勝ち残るだけの力が精子には必要とされます。

しかしそもそも精子の数が少なかったり、精子の運動能力が劣っていたりすると卵子までたどり着けないということになってしまい、これが男性不妊となるわけです。

セックスレスと不妊症の関係

実はセックスレスと不妊症には大きな関係があります。

セックスは生殖行為です。男性と女性の愛情を確かめる行為であるとともに、受精のためには欠かせない行為です。そのため、不妊治療の一環で体外受精を行っているカップルでない限り、セックスをしなければ赤ちゃんは授かりません。

では、どんな状態がセックスレスなのでしょうか。定義上は「1ヶ月以上性交渉のないカップル」をセックスレス状態と呼んでいます。しかしある調査によると、日本のカップルの実に44%がセックスレスとも言われており、まったく他人事ではない状況です。セックスレスは離婚の原因にもなるため、非常に深刻な状態といえます。ではなぜ、セックスレスになってしまうのでしょうか。

まず多いのが、夫婦のいずれかが、あるいは夫婦ともに、パートナーに性的魅力を感じられなくなったという理由です。また、二人目の赤ちゃんを考えている場合などは、妻が産後の忙しさや体調不良から夫の誘いを断っているうちに、それが当たり前になってしまうということも多いようです。セックスレスは、愛情の減退と思われがちですが、そうではありません。日本人は性に対して奔放な性格ではない人が多数ですし、ちょっとしたストレスやホルモンバランスの変調で性欲が減退することはよくあることです。セックスは夫婦がお互いに愛情を確認し、保ち続けるためにもとても大切なので、セックスレスから愛情レスに発展してしまう前に、お互い話し合ったり、解消に向けて動き出してみましょう。

セックスレスかもしれない、と感じたら、まず手をつなぐ、肩を寄せ合うなどのボディタッチをしながらゆったりと話をしてみましょう。カフェやお散歩など、夫婦でいる時間を楽しめる工夫も効果的です。今はセックスレスに関するカウンセリングもあるので、カップルで気が合えばカウンセリングを受けることもおすすめです。もちろん男性のEDなどが原因の場合もあるので、そういった場合は泌尿器科など専門医に相談しましょう。

不妊の原因の半分は男性側。夫婦でまずは検査を!

不妊の原因は女性、男性ともに半分ずつだということがわかりました。不妊で悩んでいる方は女性だけではなく夫婦2人で病院に行き、一緒に検査を受けることが不妊治療の第一歩です。それによって適切な治療や対策を検討することができるようになります。

また、男性不妊では精子が正常に作られるために生活習慣を整えることが重要。自分でできるケアとしては精子にダメージを与え、活性酸素を増やす喫煙や疲労、ストレスを避ける、過度の飲酒を避ける、などが考えられますが、意識して抗酸化物質を摂取するということも重要です。

具体的にはビタミンE、コエンザイムQ10などは、抗酸化力が高いことで知られています。また、精子の生産にも関わる男性ホルモン、テストステロンの分泌にも影響があるとされる亜鉛が含まれる食材を意識して摂取することもおすすめです。

これらの成分を食事だけで摂取するのは意外と大変ですので、サプリメントを上手に活用したセルフケアをすることで精子を作る体内環境を整えましょう。

【この記事の監修】

江夏 徳寿(えなつ のりとし)

医師、英(はなぶさ)メンズクリニック 院長。鹿児島大学医学部卒業、神戸大学大学院医学研究科卒業。生殖医療専門医。泌尿器科専門医。指導医。
大学卒業後、済生会福岡総合病院にて研修医として従事。その後亀田総合病院にて泌尿器科後期研修医プログラムを終了し、より専門的な分野を学ぶために神戸大学附属病院へ転職。
男性不妊を専門として臨床経験を積む傍ら、神戸大学大学院へ進学し研究にも従事した。
大学院卒業後は神戸大学にて教鞭をとりつつ、泌尿器科全般の臨床に従事し、腹腔鏡手術の技術認定医も取得。
神戸医療センター西市民病院副医長を経て、専門分野をより深く極めるために英ウィメンズクリニックへ就職。
男性不妊に留まらず、不妊をトータルで診療するために、婦人科診療も行っている。

本記事の執筆者

ベビーライフ研究所編集部

ベビーライフ研究所編集部
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