不妊症の原因を徹底解【女性不妊4つの因子】
卵子と精子が出会い、受精して着床するまで、たくさんの条件がそろってはじめて妊娠が成立します。
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そのため不妊症の原因は、多くの原因が重複していたり、逆に検査をしてもどこにも明らかな原因が見つからない場合もあります。女性の不妊症の原因には「排卵因子」「卵管因子」「子宮因子」「免疫因子」の4つが挙げられます。
この記事では、女性の不妊症について「排卵・卵管・子宮・免疫」の因子ごとに詳しく解説していきます。
まず「不妊」ってどんな状況をいうの?
妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにも関わらず、
一定期間妊娠しないものをいいます。
日本産科婦人科学会では、この一定期間を「1年」としています。
妊活をはじめるにあたって、まず自分の状態を知ることが大事です。
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女性の不妊症の原因ってどんなものがあるの?
不妊症といっても原因は様々ですが、女性の不妊の中で二大原因とされているのが下記の2つになります。
【女性の不妊での二大原因】
①排卵によるもの(排卵障害)
②卵管によるもの(卵管障害)
閉塞(詰まる)狭搾(狭くなる)癒着(くっつく)水腫(水が溜まる)
【その他の原因例】
・子宮によるもの:子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、先天奇形
・子宮頸管によるもの:子宮頸管炎、子宮頸管からの粘膜分泌異常など
・免疫によるもの:抗精子抗体など
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それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
女性の不妊症の原因①【排卵障害】
まず、そもそも排卵とは排卵とは、卵巣の中で18~20mmほどに育った卵胞に、「排卵しなさい」と指令をだす脳からの命令ホルモン「黄体化ホルモン」が大量に分泌され、約40時間以内に卵胞の壁が破れて、卵子が腹腔内に飛び出す状態を言います。
この排卵が起こる日を排卵日と言います。
薬局等で購入できる排卵日予測検査薬を使うと、手軽に排卵日を約1日前に予測することができます。
卵が問題ない平均な状態排卵が問題ない平均な状態
・月経(生理)周期が25日〜38日(ずれても予定日の2~5日程度ならOK)
・基礎体温を測ると低温期と高温期(低温期より0.3~0.5℃高く12~14日程度続く)の二層にわかれている。
女性のからだは、排卵した後に、ホルモンの分泌に合わせて少しだけ体温が上がります。基礎体温を継続して測っていると、低温期から高温期への移行があることで、排卵が起こったことがわかります。
このため月経サイクルがバラバラ、来たり来なかったり、定期的に出血があっても基礎体温が二層にならない時は、排卵障害の可能性があります。
正常な排卵ができていないことには、卵子が精子に出会えなかったり、出会っても受精確率や着床確率が下がり、結果なかなか妊娠ができない=不妊になってしまいます。
排卵障害が起こる原因
原因は、高プロラクチン血症や多嚢胞性卵巣症候群などがあります。
また、環境の変化などに伴う大きな精神的ストレス、短期間に大幅なダイエットをした場合なども月経不順をきたす場合があります。
*高プロラクチン血症
症状:プロラクチンという母乳を分泌させるホルモンが過剰に分泌される
原因:脳下垂体の腫瘍、薬の副作用(精神科の薬、胃潰瘍の薬など)
*多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
症状:10㎜位の同じ大きさの卵胞がたくさんできて卵巣の外側に一列に並び、なかなか大きくならない。
原因:卵巣内の男性ホルモンが過剰に分泌され、卵胞が育つのに時間がかかってなかなか排卵しない。
【多嚢胞性卵巣症候群の自覚症状】
・月経周期が35日以上
・月経が以前は順調だったのに今は不規則
・ニキビが多い
・やや毛深い
・肥満
日本人の女性は 45 歳から 56 歳の間に閉経を迎えますが、まれに 20~30代でも、卵巣機能が極端に低下し無排卵に陥る早発卵巣不全という場合もあります。
まずは基礎体温を測るのが大事!
基礎体温を測ると、自分のカラダのリズムがわかります。
約1ヵ月で変動する女性ホルモンのバランスを知ることができるので、排卵や月経、体調の変化の予測に役立ちます。
自分でできる改善方法としては
・十分な睡眠をとるなど生活のリズムを整える
・規則正しい生活をする
・バランスの良い食事こころがける
等があります。
肥満は、直ちに月経不順につながるわけではないようですが多嚢胞性卵巣症候群の場合には肥満を伴う症例が多いため、医療機関ではまず肥満を解消して標準体重に戻すような指導を行っています。
基礎体温のこんな状況が続くときは病院へ
・高温期がない(低温期がずっと続いている)⇒無排卵月経の可能性
・低温期が続く(二層にはなるが低温期が3週間以上続く)⇒排卵障害の可能性
・高温期が短い(10日未満)・安定しない⇒黄体機能不全の可能性
・全体にグラフがガタガタしている⇒無排卵・婦人病の可能性
基礎体温を測り、表にすることでからだの傾向がわかります。
妊活をはじめる場合はその上で月経期間が短い、あるいは月経がなかなか来ないといったことがあれば、基礎体温表を持って病院を受診することをおすすめします。
女性の不妊症の原因②【卵管障害】
卵管に何らかの原因で炎症がおこると、閉塞(詰まる)、狭窄(狭くなる)、癒着(くっつく)、水腫(水が溜まる)といった症状が引き起こされます。
これらの症状が不妊の原因となることがあります。
卵管ってどこ?
子宮から卵巣に向かっている長さ約10㎝ほどの2本の腕のような部分です。
卵管の役割
卵管は卵巣と子宮をつなぐパイプの役割ををしています。
排卵した卵子は卵管に吸い込まれるように回収されます。その頃、精子は膣から子宮を経て卵管の先端付近まで泳いできて受精します。
つまり受精は卵管でおこなわれるのです!そして受精した卵(胚)が再び子宮に戻るための道でもあります。
卵管は細いところで直径1㎜未満と、とっても細い管です。なので詰まったり、くっついてしまうことがあります。そうすると卵子と精子がであえなかったり、受精卵は子宮に戻ることができないため妊娠にいたらないのです。
でも卵管は左右2本あるので、どちらか1本が正常であれば自然妊娠できます。
卵管障害の原因
卵管障害の主な原因はクラミジア感染症や子宮内膜症と言われています。
クラミジア感染症
日本で最も多い性感染症で、性行為によって感染します。
おりものや腹痛、出血などの症状が出る場合もありますが、初期では自覚症状がほとんどありません。そのため慢性化して炎症が広がり、体に問題が発生したときに初めて病院で検査してわかるという場合が多いです。
クラミジアは子宮頸管に感染し、炎症を起こします。その後、子宮内へと移動、そして卵管へとたどり着きます。放置すると卵管炎等を起こし卵管がふさがってしまったり、卵管周囲にも炎症を起こし癒着します。
子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮の内側にある子宮内膜組織が、その他の臓器に発生し、増殖してしまう病気です。
月経期になると子宮内膜は剥がれ落ち、生理的出血として排出されます。
他の臓器に発生したものは、排出される場所がないため、出血した血液はその臓器の内部にたまってしまいます。
毎月出血が繰り返されることで、その部分が炎症をおこしたり、他の臓器や組織と癒着したりさまざまな症状を引き起こします。これが卵管で発生すると、卵管癒着につながります。
生理痛がだんだん辛くなってきて、鎮痛剤の使用量が増えている方などは、
子宮内膜症の疑いがあります。
卵管だけではなく、子宮の筋層やおこると着床障害、卵巣内だとチョコレート嚢胞とよばれる排卵障害をおこすことがあります。
以上大きな原因をあげましたが、他にも虫垂炎など骨盤内の手術を受けた経験がある方、子宮筋腫や卵巣のう腫による開腹手術などが原因になり、卵管周囲の癒着がおこることがあります。
気になる症状があるときには医療機関へ
卵管は卵子、精子、そして受精卵の通り道です。
原因の一つであるクラミジア感染症は、気づかないうちにかかっている場合も多く、自覚症状がほとんどありません。
クラミジア感染症での男性の症状は、排尿痛や粘り気の少ない膿が尿道口からでる場合があります。パートナーといっしょに完治させることも重要な病気です。
気になる症状がある場合は、医療機関に相談されることをおすすめします。
女性の不妊症の原因③【子宮着床障害】
子宮着床障害も女性の不妊の原因のひとつです。
子宮は「受精卵が育っていく袋」です。洋なしを逆さにしたような形で、骨盤のほぼ真ん中にあります。20-40代の成人女性では、通常は鶏卵くらいの大きさです。
上部(子宮体部)は中が空洞になっていて、下部(子宮頚部)は細い筒状で膣に続いています。子宮体部の両側には卵管がつながっています。
子宮の大部分は厚さ1~2㎝の丈夫な筋肉でできています。
また子宮壁のいちばん内側は「子宮内膜」と呼ばれる粘膜層で、卵巣が分泌するホルモンの影響を強く受けます。月経は、この「子宮内膜」がはがれ落ち、血液とともに子宮口、膣を通って体外へ排出されておこります。
この子宮に何らかの原因があると、受精卵が着床しにくくなったり、流産の原因になったりします。原因としては下記3つがあげられます。
・子宮筋腫
・子宮内膜症(子宮内膜ポリープ)
・子宮(先天)奇形
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の筋層にできる良性の腫瘍です。
筋層の異常増殖によりおこります。
腫瘍のできる部分が子宮の内側に近いほど、妊娠に影響する可能性が高くなります。
妊娠してはじめて子宮筋腫が発見されることも。
何もおこらない場合もありますが、慎重に経過を観察する必要があります。
【おもな症状】
・不正出血
・過多月経
・過長月経
・貧血
・生理痛
子宮内膜症(子宮内膜ポリープ)
子宮内膜ポリープとは、子宮内膜にできるイボ状の腫瘍です。
子宮の内膜が増殖してできたものです。
自覚症状はほとんどありませんが、月経以外の時期での不正出血で発見されることがあります。
子宮(先天)奇形
子宮の形が生まれつき異常がある場合です。
決して稀なものではなく女性の5%程度に見られるといわれています。
子宮奇形であっても正常に妊娠・出産できることも多いので、
必ずしも手術が必要になるわけではありません。
不妊症の原因というよりは、
反復する流産の原因になるといわれています。
【子宮奇形で多いタイプ】
・双角子宮:子宮が2つに分かれている
・中隔子宮・子宮の中が2つに仕切られている
不正出血や月経痛が酷いときには早めに医療機関へ
精子と卵子が受精しても着床しなければ妊娠は成り立ちません。
不正出血がある、月経が長引く、月経痛がひどい。これらの症状がある場合は
早めの検査を受けることが大切です。
女性の不妊症の原因④【免疫因子】
最後に女性の免疫と不妊症の関係について解説します。
女性の不妊症の原因には「排卵因子」「卵管因子」「子宮因子」「免疫因子」の4つがあげられます。そのうち「免疫因子」は5.2%と言われます。それでは免疫とはどのようなものでしょうか?
免疫(めんえき)は、簡単に言うと「細菌やウィルスから、からだを守ってくれている防御システム」です。つまり「疫(えき)」=病気 から「免」れる(まぬがれる)ということです。
からだの外部からの侵入者である抗原(細菌やウィルスなど)に対して、免疫細胞などが「自分=自己」と「自分でないもの=非自己」を識別して、からだを守る仕組みです。
通常、自分のからだを守る免疫反応が原因となり、受精や着床をさまたげることがあります。
からだの防御機能が本来害のない「卵子」や「精子」に対して過剰に反応し、異物と判断して排出しようとするために起こることがあります。
なぜ自分自身が作り出す卵子や卵巣を異物と判断してしまうのか、精子や受精卵を異物として排出しようとしてしまうのかについては、はっきりとしたことはわかっていません。
不妊の原因の中で、免疫因子による割合は5.2%と言われています。(日本受精着床学会・倫理委員会:火配偶者の生殖補助医療による赴任患者の意識調査. 2004:21:6-14)
不妊に関係のある免疫因子の種類
本来からだを守る免疫反応が、「卵子」「精子」「受精卵」を異物として過剰に反応し、妊娠を妨げてしまうことを免疫因子での不妊といいます。
「免疫因子」の種類としては、「抗精子抗体」「抗透明帯抗体」があります。
■抗精子抗体
女性の頸管粘液の中に、精子を異物として認識して攻撃する「抗精子抗体」が存在することがあります。この場合、精子は動きが悪くなったり、全く動けなくなったりするため子宮へ進めなくなり、受精することもできなくなります。抗精子抗体は、自己抗体(自分のからだの中にもともと存在する成分に対してできる抗体)として男性からも検出される場合もあります。
抗精子抗体は血液検査で調べることが出来ます。抗体価(抗体の強さ)が低いときには人工授精でも妊娠は可能です。高い場合は、体外受精や顕微授精が可能です。
■抗透明帯抗体
卵細胞の周囲を取り巻く透明帯は、精子を認識したり、多くの精子が受精することを防ぐなどの役割を担っています。これに対する抗体である「抗透明帯抗体」は、卵胞の発育や受精における精子の結合、精子の先体反応の誘起障害、透明帯からの胚の脱出障害の原因となる可能性があるといわれています。
体外受精での受精不良、卵巣刺激に対する低反応、良好胚移植の反復不成功、原因不明の不妊症などで、抗透明帯抗体陽性のことがあります。
抗透明帯抗体陽性の場合も、顕微授精を行うことで解決できる場合があります。
まとめ
女性の不妊症の原因ともいわれる「排卵因子」「卵管因子」「子宮因子」「免疫因子」4つについてご紹介しました。気になる症状や不安があれば、早急に医療機関を受診しましょう。
また不妊については女性1人で悩むものではありません。今や不妊の原因の半分は男性にあるとも言われています。夫婦・カップルで協力し、お互いが検査や治療を行うことが大切です。
本記事の執筆者
ベビーライフ研究所編集部
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