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妊活とは|自然妊娠のために何から始めればよい?NGな事とは【基礎知識編】
本記事の監修者
藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
近年、終活や婚活など〇〇活という言葉を多く耳にするようになってきていますが、結婚を考えるカップルやご夫婦の中では、「妊活」という言葉を耳にされる方も多いかと思います。では実際妊活とはどのようなものなのでしょうか。
この記事では妊活のためにできることや、自然妊娠のためにやるべきこと、NGな行動があるかなどを解説します。
妊活とは?
妊活とは妊娠活動の略称であり、事前に妊娠に関する知識をつけることや、自分の体を把握し実際に体調管理をすること、またそれらを踏まえて妊娠に向けた生活を送ることを指します。
▼男性妊活についてはこちら
▼まずは正しく「妊娠のしくみ」を学ぼう
妊活のためにできること
妊活と一言で言ってもその内容は様々です。
具体的には
・妊娠しやすいからだづくり
・妊娠に対して正しい知識をつけ、自身のからだを把握する
・これらを踏まえ妊娠に向け前向きに活動する
といったものです。
しかし一言で妊娠しやすいからだづくりなどと言ってもどうやって進めていくのだろう?
と、悩まれている方もいらっしゃると思います。少し例を挙げてみましょう。
例えば健康的な食生活を送ることです。
これは当たり前のことのように聞こえますが、1日3食、そしてバランスよく食べるという点でいえば意外と毎日続けるのは難しい方も多いのではないでしょうか。
外食が多い方は外食の際にも食事のバランスを考える、朝食をあまり食べない方は、スープなど少量でもいいのでからだに入れる、など少しずつ改善してみるのもいいかもしれません。
また、食生活において取り入れたほうが良い成分や食材も存在します。
例えば野菜や柑橘類、納豆などに含まれている「葉酸」は、赤ちゃんの正常な発育のために必要な栄養素です。妊娠前から十分に摂ることで、神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすことができるとされています。
他にも、レバーや牡蠣、ほうれん草などに含まれる「鉄分」も血液循環や女性ホルモンの分泌に影響するため多く摂取したほうが良いでしょう。
さらに、鉄分の吸収を高めるには、たんぱく質の摂取も必要です。それは、ヘモグロビンは鉄+タンパク質で出来ているためです。
鉄分が含まれている食材ではあるものの、大豆はプロテインスコアが低く効率が悪いので、卵がおすすめです。卵自体にも鉄分や葉酸も含まれていますので優秀な食材です。
出典:厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」2006年
これらの成分は食生活だけでは補いきれない場合もありますので、サプリメントも有効的に活用するのがおすすめです。
しかし、市販のものは目的の成分以上に添加物が含まれているものがほとんどなので注意が必要です。
健康なからだづくりは食生活以外でも可能です。例えば適度な運動は体力が付き妊娠に耐えやすいからだを作ることができます。
また血液の循環が良くなり、子宮の働きが良くなるなど妊娠前の準備としてはとても有効です。もちろん、過度な運動はからだを壊してしまうかもしれませんので、ウォーキングやヨガなど「適度な運動」を心がけましょう。また、ストレスは月経不順になってしまう可能性があるほか、女性ホルモンの分泌にも影響が出てしまうため、しっかりと睡眠をとることや、自分がリラックスしやすい環境づくりも大切です。
妊活中は焦りや不安によってストレスがたまりやすいため、そういった時こそ無理をせず、自分を労うことも大切にしていきましょう。
このように、上記のことを含めた妊娠に対する正しい知識を身に付け、自身のからだの状態を把握することも妊活の1つです。
ネットで調べるだけではなく、産婦人科や不妊治療専門のクリニックを受診し、医師と相談することもとても大切です。
近年は様々な不妊治療の方法も増えているため、妊娠自体は比較的しやすくなっていますが、高齢出産や不妊治療には少なからずリスクが伴ってしまうことがあります。そのためこのような妊活をすることによって自然妊娠ができれば、からだにかかる負担も減らすことができるかもしれません。
自然妊娠とは?
ではその自然妊娠とはどこまでのことを指すのでしょうか。自然妊娠とは医学的治療を受けずに夫婦生活のみで妊娠することを言います。
つまり、不妊治療などをせず通常の夫婦生活において妊娠することを自然妊娠と言い、排卵日のタイミングを調べることや医療機関でアドバイスを受けた場合でも自然妊娠と呼びます。
年齢による自然妊娠の確率の変化
自然妊娠できる確率は年齢を重ねるごとに低下していきます。
海外のデータ(M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition より)では、1年間避妊しないで性交渉をした場合の妊娠率は以下のように示されています。
20歳~24歳 86%
25歳~29歳 78%
30歳~34歳 63%
35歳~39歳 52%
40歳~44歳 36%
この確率からわかるように、25歳~29歳と40歳~44歳を比べると妊娠できる確率は約二分の一まで下がります。
出典:実は思っているほど高くない「自然に妊娠できる確率」
また、「体外受精や顕微授精を行った場合でも妊娠する確率は低下してしまう」というデータだけでなく、「妊娠したとしても流産してしまう確率が高くなる」という報告もされています。
高齢出産のリスク
年齢を重ねることで自然妊娠の確率が低下するとともに、妊娠、出産のリスクも増えてしまいます。日本では、35歳以上の出産を「高齢出産」と呼びます。ではこの高齢出産にはどのようなリスクが伴うのでしょうか。
まずは先ほど書いたように、流産のリスクが高くなることです。20代の妊娠では流産のリスクは10%ほどですが、35~39歳では20%、40~44歳では50%にまで上昇します。もちろん高齢出産でもしっかりと出産することは可能ですが、確率としては低くなってしまうのです。
参考:Nybo Andersen AM, et al.:Maternal age and fetal loss: population based register linkage study.:BMJ:24:320:1708-12:2000
次のリスクとして、赤ちゃんが染色体異常を持って生まれてくる確率が高くなってしまうことです。ダウン症という言葉を聞いたことのある方は多いと思いますが、そのダウン症はこの染色体異常の一種です。また、赤ちゃんだけでなく妊婦さん自身のリスクも高くなってしまいます。
高齢妊娠では妊娠糖尿病と言われる合併症などが発症しやすくなります。これは妊娠がきっかけで血糖値が上がってしまい、糖尿病に近い状態となる合併症で、母子共に危険が及んでしまいます。
このように、医療が進歩した近年でも高齢出産には多くのリスクが伴ってしまうという課題が残っています。
▼高齢出産の妊活関連記事
35歳以上の妊娠確率やリスクについて
40代の妊活方法についてまとめ
45歳でも妊娠はできる?確率やリスクなど詳しく解説
自然妊娠のためにやるべきこと
ではこれらのリスクを回避し、自然妊娠をするコツは何なのでしょうか。簡単にまとめると以下の通りになります。
1.妊娠しやすい日の確認
2.妊娠しやすいタイミングに合わせた性交渉
3.健康な体作り
4.健康的な食生活
5.適度な運動
6.ストレスの解消
まず必要となってくるのは、妊娠しやすい日、状態を確認する事です。アメリカ生殖医学会のデータ※では、妊娠しやすいタイミングは排卵予定日の6日前から排卵日当日の7日間です。特に妊娠しやすいのは排卵日の2日前と言われています。
※2013年Optimizing natural fertility: a committee opinion
この妊娠しやすい日を予測するため、基礎体温を測ることが大切です。最近では基礎体温を入力することで排卵日を予測してくれるアプリもあるため、有効的に使うと良いでしょう。また、排卵日予測検査薬というものもドラッグストアなどで購入できるため、合わせて使うことでより正確に予測することができると思われます。
次に必要なのは、この排卵日に合わせた性交渉です。もちろん性交渉の頻度が多いほど妊娠率は上がりますが、からだの負担や時間の確保などを考えると、毎日というわけにはいきません。そのため排卵日を予測し、妊娠しやすい日に性交渉を行うことが大切です。
ただしあまりにもタイミングを気にしすぎて極度な精神的なストレスを感じると、逆に妊娠しづらくなってしまうこともあります。
夫婦生活へのプレッシャーが与える影響と妊娠への可能性を高めるための解決法はこちらの記事をご覧ください。
そして最後に、妊活のためにできることの際にもまとめた「妊娠しやすいからだづくり」「健康的な食生活」「適度な運動」「ストレスの解消」などです。いくら排卵日を予測したりしても、母体が健康でなければ自然妊娠に悪影響を与えてしまいます。
いつ妊娠してもいいようにしっかりとしたからだづくりを行い、そしてそのための知識をつけることや自身のからだを把握することが自然妊娠へと繋がっていきます。
NGな行動はあるのか?
妊娠中にはNGなことはいくつかあります。
まずは食事です。例えばアルコールは胎盤を通して赤ちゃんに運ばれてしまい、発達に悪影響が及ぶことがあります。また、カフェインも同様に控えたほうがよいでしょう。食事以外では、妊娠したらタバコはやめましょう。
喫煙により低出生時体重児が生まれたり、乳児突然死症候群が引き起こされてしまうリスクがあるからです。これは受動喫煙でも同様のため、家族が喫煙者の場合や外出の際には気をつけなければなりません。
また、激しい運動を行うと赤ちゃんへの酸素の供給量が低下してしまうことがあるほか、ストレスをためることで血流の停滞が起こってしまうこともあり、その場合赤ちゃんへ栄養が送られにくくなってしまうため、ストレスはなるべくためないようにしましょう。
このように、妊娠をすると様々な制約がかかるため、事前に知識をつけ、対処できるようにしておくことが大切になってきます。
▼妊活男性のNGな行動
自然妊娠が困難な場合
ここまでは自然妊娠について詳しく話してきましたが、年齢を重ねることなど何かしらの理由により自然妊娠が困難な場合も多くあります。
自然妊娠が困難なことを不妊症と呼び、その目安は、避妊しない性交渉があるのに1年間妊娠しない状態とされています。ではそのようなときにどうすれば良いのでしょうか。
そこで必要となってくるのが「不妊治療」です。
具体的には、「人工授精」や「体外受精」など様々な方法があります。しかし自然妊娠が困難だからといって、すぐにそれらを行うわけではありません。まずは内診や血液検査など様々な検査を行い、どこに問題があるかを調べていきます。
検査を終えたうえで、医師により正確に排卵日を予測してもらうタイミング法を行う場合や、排卵誘発剤の投与により排卵を促したりします。
それでもうまくいかなかった場合は、採取した精子を排卵日に注入する人工授精や、体外で精子と卵子を合わせ子宮に戻す体外受精などに変えていくというのが一般的な不妊治療です。
さらに、不妊症の原因として挙げられるのが、そもそも排卵日前後にタイミングを取れていない、タイミングが取れていても数が少ない(連日タイミングを取ることができていない)というパターンです。
そういった方には、シリンジ法を試してみていただきたいです。シリンジ法はストレスを軽減しながらタイミングの数を増やすことができる方法です。
シリンジ法とは?
ではこのシリンジ法とはいったいどのようなものなのでしょう。
シリンジ法とは、シリンジ法のキットという針のない注射器のような専用器具を使い、マスターベーションで採取した精液を膣内に直接送り込む方法です。
例えば、排卵日を予測しても、そのタイミングに合わせた性交渉が難しい、排卵日前後に連日性交渉を行うのが負担になってしまう、性交渉へ気持ちが向かない、などの理由の際にこれを使えば、負担を軽減することができます。
また、料金も1回あたり600円程度と非常に安価なうえ、医療現場でも推奨されている安全な方法なのです。
まだあまり知名度はありませんが、最先端の妊活方法として徐々に浸透してきています。
詳しくは下記リンクに詳細がありますので、ぜひ覗いてみてください。
このように、自然妊娠が困難な場合でも妊娠する方法は日々発達しています。
そしてもちろん、妊娠における正解が自然妊娠だけということは決してありません。からだの作りが1人1人違うように、妊活の方法も人それぞれです。まずは自分のからだを知り、自分に合った妊活を進めていきましょう。
本記事の執筆者
ベビーライフ研究所編集部
ベビーライフ研究所では、妊活に取り組む多くのご夫婦に向けたタイミング法キットや栄養補給サプリメント等の商品を取り扱っています。
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本記事の監修者
藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
生殖補助医療胚培養士資格、体外受精コーディネーター資格を取得。生殖細胞の操作以外にも、患者様夫婦とお話をする機会があり、その際、不要な治療を続けているご夫婦が多いことに気がつき、現在は食事・運動・睡眠の見直しを促す発信をしている。不妊治療はあくまでサポートであり、対処療法に過ぎないため、本来の身体の機能を最大限発揮できるようなポイントを、ご本人の生活に寄り添った内容でお届けしている。