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#74

37歳の妊娠確率は?自然妊娠の可能性や妊活の進め方を解説!

コラムイメージ写真

近年、晩婚化などの影響でいわゆる高齢出産の割合が高まってきています。

年齢を重ねると妊娠が難しくなる、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

今回は高齢での妊活の中でも37歳で妊活を進める方に焦点を絞り、より妊娠を目指しやすくなるよう、37歳で妊娠できる確率や不妊治療、妊活の進め方などをご紹介します。

37歳での妊娠は35歳までと比べてどのくらい難しい?

日本産婦人科学会では一般的に35歳以上での初産と40歳以上の経産を高齢出産と定めています。

令和3年には出生数のうちの約30%が高齢出産であり、その割合が意外にも多いことがわかります。

では37歳での妊娠が、ほかの年代と比べてどのくらい難しいものなのかについて詳しく見てみましょう。

37歳で自然妊娠する確率

海外での研究の結果(M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition より)によると、1年間避妊をせず性交渉を行った際の年代別自然妊娠確率は以下の通りです。1年を通しての妊娠率は20~24歳では86%もあるのに対し、35歳を過ぎると50%付近にまで低下します。この結果からは37歳の自然妊娠の確率は約52%前後と見ることができます。

年齢自然妊娠の確率
20~24歳86%
25~29歳78%
30~34歳63%
35~39歳52%
40~44歳36%
45~49歳5%

また、女性の排卵1周期当たりの妊娠率は以下の通りになっています。

年齢1周期あたりの妊娠率
25歳25~30%
30歳25~30%
35歳18%
40歳5%
45歳1%

1周期当たりの妊娠率は35歳の時点で18%とありますが、40歳になると5%と、この5年の間に一気に13%も低下してしまいます。この数値から、37歳の年齢だとだいたい10%前後が1周期あたりの妊娠率と読むことができます。

37歳で不妊治療をした場合の出産率

自然妊娠が難しい場合は不妊治療にステップを移行しますが、そちらの出産率も年齢とともに低くなっていきます。

厚生労働省によると30代の不妊治療による出産率は以下のようになっています。

年齢出産率
30歳19.9%
31歳19.4%
32歳19.1%
33歳18.1%
34歳17.7%
35歳16.3%
36歳15.4%
37歳14.2%
38歳11.6%
39歳10.2%

出典:厚生労働省 不妊治療における年齢別の出産率と流産率

このように37歳の時点では14.2%まで妊娠率が下がり、30代最後の39歳の時点で約10%まで低下していきます。

また40代に入ると不妊治療による妊娠率の低下はさらに進んでいき、40歳の時点で7.7%、45歳ではなんと0.6%まで低下してしまいます。

そのため、40~45歳で不妊治療を断念するカップルも多いです。

37歳の平均妊活期間

35~39歳の方の平均妊活期間は13ヶ月と言われていることから、37歳の方も同じく平均妊活期間は13ヶ月程度と考えられます。

これに対して20〜24歳は平均妊活期間が4ヶ月、25~29歳は6ヶ月、30~34歳までが8ヶ月となっています。

先ほど紹介した、自然妊娠の確率や不妊治療での出産率が35歳から一気に下がっていることからも、30代後半からは妊娠が難しくなり、それだけ妊活期間も長くなります。

子供に障害・ダウン症が現れる確率

高齢出産の場合、胎児へのリスクの1つにダウン症の子供が生まれやすいというものがあります。

この原因の1つが卵子の劣化です。卵子は加齢とともに徐々に老化していき、質が低下してしまいます。

この卵子の老化により染色体の異常が多くなると、受精が上手く行えない場合や、受精ができても上手く胚が成長しない、といった問題が起きてしまいます。

母体の年齢別のダウン症の確率は、37歳の時点で約1/243と言われています。

出典:15.超音波検査と染色体検査との関連(出生前診断について) – 日本産婦人科医会 (jaog.or.jp)

やはりこちらも34歳までと比べて、35歳から確率が大きく増えており、高齢出産の難しさがうかがえます。

37歳での妊娠が難しい理由

ではなぜこのように37歳では妊娠が難しくなるのでしょうか?

ここからはその理由について解説していきます。

卵子の数が減るため

卵子は女性が赤ちゃんとして生まれる前、お母さんのお腹の中にいる胎児のころに作り出されます。

卵子のもととなる原子卵胞というかたちで一生分が作られ、5~6ヶ月の胎児の時点ではなんと500~700万個も存在しますが、卵子はこれ以降減少していくのみなのです。

生まれてくる時点では約200万個、思春期には約30万個ほどまで減少し、子どもを産める年齢のころには10~30万個になってしまいます。

そこからは1ヶ月で約1000個ずつ減少していってしまうため、高齢になるほど妊娠がしづらくなってしまうのです。

卵子の染色体異常の割合が上昇するため

先ほど紹介したように、年齢が高くなると卵子の染色体異常の数が増えていきます。

この染色体異常の割合が高いと妊娠できる確率が下がってしまいます。

また例え妊娠ができても、胎児のダウン症のリスクが増加するほか、流産や早産などの確率が高まってしまうのです。

着床率が下がるため

妊娠は受精卵が子宮内膜と接着することで始まります。

このことを着床と呼びますが、着床率は年齢とともに下がっていきます。

これは染色体異常が原因ではないかと言われており、36~37歳においては着書率は21%、38~39歳では11.6%、40歳以上では6.5%と顕著に低下したという報告があります。

参考:Informed Concent なぜ年齢の上昇に伴い妊娠が難しくなるのでしょうか? | 金山レディースクリニック (klc.ne.jp)

37歳で妊娠を望む女性が検討する不妊治療

年齢とともに低下する自然妊娠率ですが、近年は不妊治療の技術も進化してきています。

37歳で妊娠を望む場合、どのような不妊治療が有効なのでしょうか?

タイミング法

タイミング法は、クリニックで妊娠しやすい性交のタイミングを医師に指導してもらう方法で、男性女性ともに明らかな不妊原因がない方に向いています。

妊娠しやすいタイミングは、クリニックでの検査で排卵日を正確に予想することで導き出すほか、自宅で基礎体温表をつけることでもある程度予測することができます。

ですがこの方法はあくまでも「自然妊娠の確率」を引き上げる方法のため、妊娠の確率が低下してきている37歳ではあまりおすすめできません。

人工授精

人工授精とは、妊娠しやすいタイミングに合わせて、洗浄・濃縮した精子を子宮内に直接注入する方法です。

自然妊娠では膣に精液が入りそこから子宮に到達するのに対し、人工授精では直接子宮に精子を注入するので、精子と卵子が出会う確率が自然妊娠に比べて高いです。

人工授精は男性不妊症状や性交障害がある場合などに有効な不妊治療ですが、精子の数や運動機能が極端に悪い、卵管が詰まっているなどの問題がある方には向いていません。

体外受精

体外受精は精子と卵子どちらも採取し、その卵子と培養液を入れたシャーレに元気の良い精子を入れることで受精させる方法です。

基本的に体外受精は、タイミング法や人工授精でも妊娠できなかった方が次のステップとして取り組むことが多いほか、女性が高齢の場合に勧められることもあります。

顕微授精

体外受精は採取した精子と卵子をシャーレの上で受精させますが、精子の運動機能が極端に低い場合、体外受精ではうまく受精できない場合があります。

それに比べ顕微授精は、針の先端に1個の精子を入れ、顕微鏡で確認しながら卵子に直接注入する方法のため、精子の運動機能が低い方に向いています。

また、精子の数が少ない方にも向いている方法となっています。

番外編:卵子凍結

みなさんは卵子凍結というものをご存知でしょうか?

これは質の良い卵子をあらかじめ採取し、凍結保存する方法です。

卵子は年齢とともに老化してしまいますから、年齢を重ねたのちに妊娠を望んだ場合に備えておくことが可能です。

ですが、卵子を凍結したことで安心してしまい、かえって妊活が長期化する可能性もあるため、本当に必要な方法かを見極めることも重要です。

▼卵子凍結での妊娠率▼

凍結した卵子を使用した妊娠率は採取した年齢によって異なります。30歳以下で採卵した場合の妊娠率は約35%前後、31~34歳で約30%前後、35~37歳で約25%前後、38~39歳で約20%前後、40歳以上では約15%以下です。

▼採卵と凍結の方法▼

一般的に、卵子凍結には排卵誘発剤を用いて複数の卵子を成熟させます。採取する卵子の数は15個を目標にしていますが、個人差があり、一度の治療サイクルで4個から15個の卵子を採取することがあります。

▼卵子凍結の年齢制限と保存期間▼

卵子凍結は原則として39歳以下の女性を対象としているクリニックが多いです。保存期間は多くの場合、満49~50歳までです。

▼リスクと費用▼

卵子凍結の採卵には痛みや出血、炎症、卵巣過剰刺激症候群のリスクがあります。採卵にかかる費用の相場は約20~50万円です。凍結延長のための年間費用は2~3万円程度です。

※参考サイト:ミネルバクリニック六本木レディースクリニックTelling(朝日新聞)

37歳からの妊活の始め方

ここまで紹介してきたように、様々な不妊治療があり妊娠のための手段は多く存在しますが、普段から心掛けておくべき妊活も数多くあります。

基礎体温を測る習慣をつける

基礎体温を毎日測り基礎体温表をつけることで、自身の低温期と高温期の周期が分かり、そこから排卵日と妊娠のしやすいタイミングが予測できます。

また、低温期と高温期はそれぞれホルモンバランスにより体調が変化する要素でもあります。

そのため基礎体温の変化がからだの異変を察知するきっかけになることもあるため、基礎体温を毎日測ることを習慣づけましょう。

婦人科を受診し、医師に治療方針を相談する

37歳から妊娠を目指す場合は時間との勝負です。

そのため、妊活を始める際は婦人科での診察、検査、相談をすぐに行いましょう。

診察、検査をすることで現在自身のからだがどのような状況なのかを知り、それをもとに医師と治療方針を相談し、決めることができます。

また不妊の原因は男性女性それぞれ半分ずつあると言われているため、パートナーと一緒に検査、相談することもとても重要です。

飲酒・喫煙などの習慣を見直す

主に男性側への影響ですが、喫煙はED(勃起不全)のリスクが高まるほか、精子の濃度や運動率が低下してしまう可能性があります。

女性も妊娠後は飲酒喫煙が胎児に悪影響を及ぼしてしまうため、妊活の段階から飲酒喫煙の習慣を見直すようにしましょう。

食生活の改善

妊活において食生活で取り入れたほうが良い栄養素は多くありますが、その中でも特に大切なのが葉酸です。

葉酸は細胞の再生や生産に欠かせない栄養素で、妊娠中にも胎児のために多く摂取したほうが良いとされていますが、実は高齢での妊娠のためにも大変重要な役割があります。

それが「卵子の劣化を遅らせる」働きです。

葉酸は野菜や柑橘類、納豆などに含まれているほか、サプリでも摂取することができるので、適度に取り入れてみましょう。

規則正しい生活を送る

規則正しい生活リズムはからだのバランスを整えるためにもとても大切です。

特に睡眠は、エストロゲンという受精卵が着床しやすいようにする働きがある物質を分泌します。

睡眠不足が続くとこのエストロゲンがうまく分泌されないほか、自律神経が乱れてしまい、子宮や卵巣に悪影響を及ぼす可能性もあります。

そのため、なるべく8時間程度の睡眠を取るようにし、規則正しい生活リズムを意識しましょう。

適度な運動をする

出産や産後の早期回復には、適度な筋肉が必要です。

しかし筋肉は30代をピークに徐々に落ちていってしまうため、高齢妊娠の際は出産に時間がかかることが多いです。

妊娠したからと言ってそこから急激に運動をすると、かえってからだの負担になってしまうため、妊娠前から適度に運動をする習慣をつけておきましょう。

まとめ

37歳での妊娠は、卵子の劣化などの理由から確率が低く、難しいものになっています。

ですが決して不可能なものではなく、事前の身体づくりや自身にあった妊活をすることで自然妊娠ができる可能性もあり、それが難しくても現在は様々な不妊治療が存在します

37歳から妊活を始める方は、すぐにクリニックでの診察・検査を行い医師と治療方針を決め、良いスタートダッシュが切れるようにしましょう。

本記事の執筆者

ベビーライフ研究所編集部

ベビーライフ研究所編集部
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本記事の監修者

藤本 彩巴(ふじもと あやは)

藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
生殖補助医療胚培養士資格、体外受精コーディネーター資格を取得。生殖細胞の操作以外にも、患者様夫婦とお話をする機会があり、その際、不要な治療を続けているご夫婦が多いことに気がつき、現在は食事・運動・睡眠の見直しを促す発信をしている。不妊治療はあくまでサポートであり、対処療法に過ぎないため、本来の身体の機能を最大限発揮できるようなポイントを、ご本人の生活に寄り添った内容でお届けしている。

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