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タイミング法とは?成功率や方法をわかりやすく解説

コラムイメージ写真

妊活において妊娠率アップの基本となるのが「タイミング法」の考え方です。効率よく授かるにはコツがあり、自宅でも決して難しくありません。

これから妊活を始める方も、なかなかできないと気にしている方も、「タイミング法とは何?」「どうやって行うの?」「成功率は?」知りたい方は多いのではないでしょうか。

この記事では、タイミング法による妊娠の仕組みと成功率を徹底解説します。

クリニック検討と並行してタイミング法の仕組みを知れば、きっと妊娠への近道になるでしょう。自分たちでタイミングを取る方法や、おすすめのサポートキットも紹介します。

タイミング法とは

タイミング法は、クリニックで行う最初の不妊治療。一言でいうと「妊娠しやすい性交のタイミングを医師が指導する」方法です。

タイミングを知るために、エコー検査や尿検査を駆使して排卵日を正確に予想します。安定して排卵があり、ホルモンバランスも良好なら、基本的には薬は使いません。

タイミング法は、自然妊娠の確率を最大まで引き上げる方法と言えます。

クリニックに行かず自分たちで排卵の時期を予想し、タイミングを取ることも可能です。こちらも広い意味でタイミング法と呼ばれる場合があります。

タイミング法の対象となるカップル・おすすめ

タイミング法の対象となるのは「男性にも女性にも明らかな不妊原因がない」場合です。

たとえば排卵障害や子宮の状態により自然妊娠が難しい、男性側の造精機能に問題がある、という場合はタイミング法には向きません。

こうした明らかな原因がなければ、まずはタイミング法が選択肢となります。特に、女性の年齢が20代〜30代前半と若い場合はおすすめです。不妊検査と並行して治療を開始したい場合も、タイミング法を行うことがあります。

また、以下のような方は、自分でタイミングを取ってみるのもおすすめです。

  • 妊活を始めたばかり
  • なるべく費用を抑えたい
  • クリニックに通う時間が取れない
  • クリニック受診に抵抗がある

タイミング法の費用

クリニックでタイミング法を行う場合、1周期あたりの費用は2000〜3000円程度から1〜2万円程度と幅が広いです。

健康保険の範囲でおさまれば数千円ですが、場合によっては保険適用外となり、費用が高くなることもあります。たとえば排卵日がずれて検査の回数が増えたり、排卵を促すために薬が処方された場合などです。

直接の医療費以外にも、クリニックへの交通費や、仕事を休む場合は調整コストも、見逃せない費用と言えます。

自宅でタイミングを取る場合は、毎周期の費用はありません。初期費用として、基礎体温を測るための婦人体温計だけ、1000~4000円程度で購入します。

必要に応じて排卵検査薬やシリンジ法のキットなどを使うと、1周期あたり数百円〜数千円程度です。

詳しい方法は、この先の「タイミング法の成功率を上げるポイント」「タイミング法のやり方や流れ」でお伝えします。

タイミング法の成功率・妊娠率

妊娠率は年齢が若いほど高い、とご存じの方もいると思います。

タイミング法での妊娠率はどれくらいでしょうか?クリニックで行う場合と自分たちで行う場合、それぞれ具体的なデータを見てみましょう。

クリニックでの妊娠率

クリニックにおけるタイミング法の妊娠率は、ほとんどが自然妊娠率より低くなります。なかなかできなくてクリニックに来た患者さんが多く含まれるためです。

一方で、排卵誘発剤などを使用し、妊娠しやすいよう働きかける場合もあります。

たとえば以下のデータでは、20代前半の方は10%以上が妊娠し、全員が出産に至りました。

20代後半〜30代では、妊娠率は8%前後と横ばいですが、出産率はだんだん下がります。

40代では妊娠率が5%弱、出産に至った方は1人だけだったそうです。

産婦人科クリニックさくらで2018年にタイミング法を行った患者の年代別妊娠率・出産率

  • 22〜25歳:11.8%, 11.8%
  • 26〜30歳:8.6%, 7.1%
  • 31〜35歳:7.1%, 4.5%
  • 36〜40歳:8.6%, 5.7%
  • 41〜45歳:4.8%, 1.0%

https://www.cl-sacra.com/archives/6496 より改変)

自分たちでタイミングを取る場合の妊娠率

一方、自宅でタイミングを取る場合の妊娠率はどうでしょう。自宅の場合は、排卵誘発剤などを使わず自然な状態で妊娠にチャレンジするため、自然妊娠の確率に近いと考えられます。

排卵1周期あたりの自然妊娠の確率は、20代〜30代前半では25〜30%と高いです。

30代後半になると、妊娠率は18%と下がってきます。

40代では5%〜1%と、一層低い妊娠率です。

排卵1周期あたりの年代別妊娠率

  • 25歳 25〜30%
  • 30歳 25〜30%
  • 35歳 18%
  • 40歳 5%
  • 45歳 1%

https://minerva-clinic.or.jp/colum/pregnancy30s-period/ より)

そして、1年間避妊せずに性交渉した場合の妊娠率は、以下の通り。

こちらでも、年代が若いほど妊娠率は高いと分かります。

1年間避妊せずに性交渉した場合の年代別妊娠率

  • 20歳~24歳 86%
  • 25歳~29歳 78%
  • 30歳~34歳 63%
  • 35歳~39歳 52%
  • 40歳~44歳 36%
  • 45歳~49歳 5%
  • 50歳以上 0%

https://minerva-clinic.or.jp/colum/pregnancy30s-period/ より)

1周期あたりの妊娠率が最大30%ほどなので、若くても妊娠まで数ヶ月かかることがあるのは普通です。クリニックでは患者さんの希望も聞きながら、5周期ほどタイミング法で様子を見る場合もあります。

30代後半になってくると、2〜3周期トライして妊娠しなければ、人工授精や体外受精へステップアップするのが適切です。

自分でタイミングを取る場合も、これくらいの周期を目安に、クリニック受診を検討すると良いでしょう。

40代では1周期あたりの自然妊娠率は1桁となり、早めにクリニックを受診するのが近道です。

タイミング法の成功率をあげるポイント

ここからは、タイミング法の成功率をあげるためのポイントを解説します。

まずは卵子と精子の寿命を知る

卵子と精子の寿命をご存じでしょうか?それぞれ受精できる時間が限られているため、最適なタイミングで出会うことが妊娠には大切です。

卵子の寿命は、排卵されてから24時間。このうち最も受精しやすいのは、排卵後6〜8時間と言われています。

精子は、女性の体内では3〜5日ほど生きると言われますが、受精できる時間はもっと短いです。

受精能力を獲得するのは、射精されてから5〜6時間後。その後、48時間頃から徐々に老化し、この後は受精してもほとんど発育できません。

よって射精後5〜6時間から48時間までが、受精には最適です。

卵子より精子の方が寿命が長いことから、排卵前に精子が子宮の奥まで泳いでいって、卵子を待ち構えているのがベスト。具体的には排卵の2日前〜1日前に性交すると最も妊娠率が高い、ということになります。クリニックで指導されるのも、このタイミングです。

また、少しでも妊娠の可能性があるのは、排卵5日前〜排卵当日までです。

排卵日を知るために基礎体温をつける

排卵日を知るためには、まず基礎体温をつけましょう。クリニックでも測るように指示されることがあります。

(ここでは基礎体温のつけ方を中心に説明します。排卵日の詳しい推定方法は、このあとの「タイミング法のやり方や流れ」をご覧ください)

基礎体温の測定には、普通の体温計ではなく婦人体温計を使いましょう。「36.27℃」「36.81℃」などと細かく測れる体温計で、計測だけのベーシックな機種や、スマホアプリと連携して体温の変化を見られる高機能な機種まで様々です。

毎朝起き上がる前、布団の中で横になったまま、舌の下で測ります。枕元に婦人体温計を用意しておきましょう。

記録用の基礎体温表は、クリニックでももらえますし、市販もされています。インターネットからダウンロードするのも手軽です。

月経周期は月経の開始日を1日目と数えます。1周期は26〜35日程度の方が多いです。

記録を続けていくと、体温が低めの時期と高めの時期が見えてきます。

  • 排卵の時期から体温が上がり、高温期になる
  • 月経が始まると体温は下がり、低温期になる

1日くらい測り忘れたり、多少の体温の上下は気にせず、全体の流れを見ましょう。

基礎体温表には、おりものの変化や出血量など体調の変化も一緒に記録します。

排卵の時期におりものが増える、排卵痛がある、と気づく人もいるかもしれません。排卵前に大きく体温が下がる人もいるでしょう。

こうした体のリズムをつかむことも、妊活には大切です。

回数が重要

排卵のタイミングを知るのと同時に、性交の回数も重要です。

目安は1周期あたり最低でも2回。排卵の2日前までに1回+排卵2日前に1回、合計2回です。

できれば排卵予定日の1週間ほど前から、排卵したと確信するまで、2〜3日おきにタイミングを持つとベストです。

普通に生活していても、排卵日が数日ずれるのは良くあること。睡眠不足やストレスなどがあればなおさらです。多少のずれにも対応できるように、回数を重ねることで妊娠の確率も上がります。

また、精子は射精すれば新しく作られる、とご存じの方もいるでしょう。定期的に射精していると、排卵のタイミングで若く元気な精子を届けられます。

▼タイミング法の回数やスケジュールについて詳しく知りたい方はこちら

タイミング法で成功するための効果的な回数やスケジュールを徹底解説

排卵誘発剤を使うことも

タイミングを合わせやすくするために、クリニックでは排卵誘発剤を使うこともあります。

排卵誘発剤とは、卵巣を刺激して卵子を育てる薬。タイミング法で使われるのは、主に内服薬です。

特に月経不順の場合は、排卵誘発剤を使うと排卵のタイミングが安定します。薬の種類や体の状態によって、飲む期間や1日の回数、保険適用かどうかも異なるため、医師と良く相談して使用しましょう。

▼タイミング法の成功のコツについて詳しく知りたい方はこちら

タイミング法で妊娠しない原因は何?成功のコツと半年から1年で検討すること

タイミング法のやり方や流れ

タイミングを取るときは、まず排卵日を推定します。(クリニックでは医師がしてくれます)

排卵していると考えられる時期は、基礎体温が低温から高温に変わる数日間です。

排卵から月経開始までは約14日なので、月経開始日の14日前と考えることもできます。

たとえば月経周期が30日の方は、排卵は16日目頃と推定が可能です。

推定できたら、排卵の時期が近づいた頃にクリニックを受診します。

まず行うのはエコー検査です。卵巣の中にある卵胞の大きさをチェックし、あと何日で排卵しそうか予測します。

排卵日が近づいたら、尿中のLH(黄体形成ホルモン)を検査。LHは排卵の34〜36時間前から分泌が増え始め、10〜12時間前にピークとなるので、検出されれば排卵が近いということです。クリニックによっては、血液中のLHを測定する場合もあります。

これらの検査で排卵が近いと分かれば、タイミングを取るよう指導されます。

タイミング後の確認も大切です。排卵が無事済んだかをエコーで見て、基礎体温の上昇も確認します。高温期に分泌が増える黄体ホルモン(E2、P)も検査するでしょう。

フーナー検査を行い、子宮頸管粘液の中で精子が泳げているか確認することもあります。

その後、次回の月経が来なければ、妊娠確認へと進みます。

自分たちでタイミングを取る方法

自分たちでタイミングを取る場合も、基礎体温を元に排卵の時期を推定するのは同じです。排卵時期の一週間ほど前から、何度か性交を繰り返しましょう。

頑張りすぎると気持ちも疲れてしまいますし、精子が枯渇してしまうこともあるので、2〜3日おきに行うのがおすすめです。

排卵日を確実に知りたい場合は、市販の検査薬で尿中のLHを調べられます。尿をかけるだけのタイプと、紙コップなどに尿を採って浸すタイプがあるので、好みや費用で選んでみてください。

排卵予定日の3日ほど前から検査し、陽性になったらタイミングを取りましょう。LHは排卵の10〜12時間前がピークになるので、排卵のタイミングを詳しく知りたければ、1日2回検査すると良いです。

排卵の時期は、おりものが増えることで分かる場合もあります。これだと費用はかかりませんから、自分の体調を観察してみると良いでしょう。

時にはシリンジ法を使ってみても

タイミング法では性交の回数が重要ですが、意外と難しいことも多いです。

仕事が忙しく、ゆっくり2人の時間が取れない。体力的に負担が大きい。そもそもセックスがそれほど好きではない…理由は様々です。プレッシャーを感じてしまって精神的にうまくいかないことも、決して珍しくありません。

こうしたときは無理せず、回数のサポートとして「シリンジ法」を使うのも選択肢です。

シリンジ法とは

シリンジ法とは、男性がカップに精液を採り、専用のシリンジで吸い取って、女性の膣内に注入する方法です。

シリンジとは、針のない注射器のような形の細長い容器。タンポンに似た形のものもあり、挿入しやすく工夫されています。

シリンジ法のキットの使い方

シリンジ法の基本的な流れをご紹介します。

STEP1.精液を紙カップで採ります

まず男性がマスターベーションを行い、紙カップに精液を採ります。事前に手を洗い、清潔な紙カップを使いましょう。これさえ気をつければ、自由な方法で採精して大丈夫です。

STEP2.精液を容器に吸い上げます

採った精液は、5〜10分ほど置いて液状化させます。液状化したらシリンジに吸い上げましょう。

STEP3.女性の膣に挿入し精液を注入

女性の膣にシリンジを挿入し、精液を注入します。仰向けや横向きなど、自分にとって楽な姿勢で行えば大丈夫です。

注入後、元気の良い精子はすぐに子宮頸管から子宮へ泳いでいくため、膣から精液が漏れても心配はないと言われています。気になる方は腰を高くして横になり、5〜10分ほど休むと安心できるでしょう。

シリンジ法のキットの使い方例:meeta(ミータ)

シリンジ法におすすめなのは「シリンジ法のキットmeeta」です。

meetaのシリンジはタンポンのようななじみのある形で、挿入しやすく痛みも出にくいよう工夫されています。

採精カップは男性に使いやすい形を追求し、紙コップとは全く異なる形状になりました。

医療機器らしくない優しいパッケージも魅力です。

詳しい使い方や特長は、こちらで紹介しています。

シリンジ法のキットmeeta使い方のコツ①~採精紙カップ~

タイミング法についてのまとめ

最後に、タイミング法のポイントをまとめます。

タイミング法とは、基礎体温や各種検査を元に排卵日を予測し、排卵日に合わせて性交する方法です。

自宅でタイミングを取る場合の成功率は、自然妊娠と同じと考えられます。

1周期あたりの自然妊娠の確率は、最大で30%程度です。

  • 20代〜30代前半:25〜30%
  • 30代後半:18%
  • 40代:5%〜1%

成功のためには回数が重要です。

  • 最低でも2回:排卵の2日前までに1回+排卵2日前に1回
  • 排卵1週間前〜当日まで複数回持てるとベスト

回数を持つのが負担な場合は、シリンジ法を活用してはいかがでしょうか。

タイミング法についてのQ&A

Q1.タイミング法とはなんですか?

タイミング法は、クリニックで行う最初の不妊治療です。一言でいうと「妊娠しやすい性交のタイミングを医師が指導する」方法です。

タイミングを知るために、エコー検査や尿検査を駆使して排卵日を正確に予想します。安定して排卵があり、ホルモンバランスも良好なら、基本的には薬は使いません。タイミング法は、自然妊娠の確率を最大まで引き上げる方法と言えます。

クリニックに行かず自分たちで排卵の時期を予想し、タイミングを取ることも可能です。こちらも広い意味でタイミング法と呼ばれる場合があります。

Q2.タイミング法の費用はいくらですか?

クリニックでタイミング法を行う場合は、1周期あたりの費用は2000〜3000円程度から1〜2万円程度と幅が広いです。健康保険の範囲でおさまれば数千円ですが、場合によっては保険適用外となり、費用が高くなることもあります。(排卵日がずれて検査の回数が増えたり、排卵を促すために薬が処方された場合)

また医療費以外にも、クリニックへの交通費・仕事を休む場合は調整コストがかかったりします。自宅でタイミング法を行う場合は、初期費用として、基礎体温を測るための婦人体温計だけ、1000~4000円程度で購入します。

必要に応じて排卵検査薬やシリンジ法のキットなどを使うと、1周期あたり数百円〜数千円程度です。

Q3.タイミング法の成功率をあげるポイントはなんですか?

1. 卵子と精子の寿命を知る

2.排卵日を知るために基礎体温をつける 

3.性交の回数が重要 

4.排卵誘発剤を使うことも(場合によって)

Q4.タイミング法はクリニックに行かずに自分たちでも実践できるの?

クリニックに行かず、自分たちでタイミングを取ることも可能です。基礎体温を元に排卵の時期を推定し、排卵時期の一週間ほど前から、何度か性交を繰り返します。

精子が枯渇してしまうこともあるので、2〜3日おきに性交を行うのがおすすめです。排卵日を少しでも詳しく知りたい場合は、市販の検査薬で尿中のLHを調べられます。

尿をかけるだけのタイプと、紙コップなどに尿を採って浸すタイプがあります。排卵予定日の3日ほど前から検査し、陽性になったらタイミングを取りましょう。LHは排卵の10〜12時間前がピークになるので、排卵のタイミングを詳しく知りたければ、1日2回検査すると良いです。

本記事の執筆者

ベビーライフ研究所編集部

ベビーライフ研究所編集部
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本記事の監修者

藤本 彩巴(ふじもと あやは)

藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
生殖補助医療胚培養士資格、体外受精コーディネーター資格を取得。生殖細胞の操作以外にも、患者様夫婦とお話をする機会があり、その際、不要な治療を続けているご夫婦が多いことに気がつき、現在は食事・運動・睡眠の見直しを促す発信をしている。不妊治療はあくまでサポートであり、対処療法に過ぎないため、本来の身体の機能を最大限発揮できるようなポイントを、ご本人の生活に寄り添った内容でお届けしている。

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