男性妊活に重要な食べ物(栄養素)や精子の仕組み・つくられ方をおさらいしてみましょう。
【監修】
江夏 徳寿:
医師、英(はなぶさ)メンズクリニック 院長。鹿児島大学医学部卒業、神戸大学大学院医学研究科卒業。生殖医療専門医。泌尿器科専門医。指導医。
二宮 英樹:
医師、データサイエンティスト。福岡県出身。東京大学医学部卒業。専攻は公衆衛生学。
阿部 裕紀:
薬剤師。東京都出身。星薬科大学薬学部卒業。専攻は薬物治療学。
※詳細プロフィールは記事の最後に記載しております。
不妊の原因についてかつては女性に主な原因があると言われていましたが、現在では不妊の50%は男性側に原因があるというのが定説となっています。
男性不妊には幾つかの原因が考えられますが、中でも精子の数や運動能力が原因となっている場合があると言われています。そこで精子の仕組みや体内での作られ方を確認しながら、男性不妊と精子の関係について見ていきましょう。
男性不妊の最も多い原因は精子の問題
精子は精液1mlあたり約1億個含まれていると言われていますが、実際に女性の膣の中に放出された精子の中で卵子までたどり着くことができるのは通常は1個だけです。
膣の中の環境は精子にとっては過酷と言えるものですが、その中を1億個以上の精子が競い合いながら卵子を目指すことによって、より強い精子が選び出され、弱い精子は淘汰される、という仕組みになっているわけです。
男性不妊の原因になり得る精子の問題としては精子が存在しない無精子症、精子の量が少ない精子欠乏症、精子の運動機能が低い精子無力症、正常ではない精子が含まれる奇形精子症などがあります。このような問題がある場合に、精子は卵子までたどり着くことができないため、男性不妊となってしまうわけです。
精子の仕組みと精液の役割とは?
では、精子の仕組みについても理解を深めるためにおさらいをしておきましょう。
精子の大きさは25分の1mm位で、頭部、中部、尾部という3つの構造にわかれていて、おたまじゃくしのような形状をしています。
頭部は丸くなっており、DNAを含む核が収納されています。中部には精子が運動する際のエネルギーを作り出すミトコンドリアが格納され、細長く伸びた尾部を振ることで推進力を作り出し、前に前にと進んで行きます。
精子は精液に包まれて膣の中に射精によって放出されます。精液から運動のために必要な栄養を補給しながら、精子は子宮にいる卵子を目指します。また、膣の中は酸性となっているため精子にとっては好ましくない環境ですが、精液が中和することによって精子は運動力を高めることができるのです。
精子はどこで作られる?
精子の仕組みが改めて理解できたかと思います。次は精子が身体の中で作り出される仕組みについて確認しましょう。
精子は精巣(睾丸)で作り出されます。精巣は男性器の下にぶらさがっている陰嚢の中に収められています。これは精巣が体温よりも少し低い温度の時に最も良く活動するため、温度の高い体内ではなく身体の外にぶらさがり、温度を下げるようになっています。
陰嚢にシワがあるのも温度調節の為で、暑ければシワが伸びて表面積が大きくなることで冷却を促し、寒ければシワが縮んで表面積を小さくし、熱が逃げるのを防ぐという働きをしています。
精子は精巣の中にある精細管という部分で約70日間かけて作られます。その後、精巣上体というところに運ばれた精子は精管という40センチある管を14日間かけて通過します。精管の終点までいくと精子は精嚢から分泌された液体と混ざり合い、更に前立腺に送られて精液となり、射精を待つことになるのです。
精子をつくるのに必要な栄養素
では、精子を作るのに必要となる栄養素はどのようなものになるのでしょうか?精子そのものはほとんどがたんぱく質とミネラルでできているので、たんぱく質とミネラルをしっかり摂取していれば精子を作る材料は供給できることになりますが、精子がきちんと作られるためにはそれをサポートする次のような栄養素が必要となります。
亜鉛
亜鉛は精液にも含まれているミネラルですが、男性ホルモン、テストステロンを活性化する他、精子の生産を促すとも言われています。牡蠣やうなぎ、レバー等の食材に含まれています。
アルギニン
アルギニンはアミノ酸の一種ですが、精子の数を増やしたり、運動能力を向上させると言われています。エビやかつお節、大豆類等にふくまれている成分です。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化力があることで知られていますが、精子は活性酸素に弱いためビタミンEのような抗酸化力がある成分を摂取すると良いでしょう。また、ビタミンEは男性ホルモンの分泌を活性化する働きもしています。大豆や落花生、アーモンド等に含まれています。
コエンザイムQ10
牛肉、豚肉、いわし等に含まれているコエンザイムQ10はビタミンE同様に抗酸化作用がありますが、積極的に摂取することで精子が苦手とする活性酸素を取り除くことができると言われています。
サプリメントを活用して精子を作るのに適した成分を摂取しましょう
男性不妊の最大の原因の1つと考えられている精子の問題についての理解を深める意味で精子の仕組みや精子を作るのに必要となる栄養素についておさらいをしてきました。正常な精子をきちんと作るためには必要な栄養素を摂取する必要があることがわかりました。
しかし、これらの栄養素を食材だけで摂取しようとするとかなり偏った食生活になってしまい、生活習慣病など別の問題を引き起こすことが考えられます。
そのため、バランスのいい食事を心がけながら、不足分はサプリメントを上手に活用して補い、精子を作るのに必要な栄養素をしっかりと取ることをお勧めします。
【この記事の監修】
江夏 徳寿(えなつ のりとし)
医師、英(はなぶさ)メンズクリニック 院長。鹿児島大学医学部卒業、神戸大学大学院医学研究科卒業。生殖医療専門医。泌尿器科専門医。指導医。
大学卒業後、済生会福岡総合病院にて研修医として従事。その後亀田総合病院にて泌尿器科後期研修医プログラムを終了し、より専門的な分野を学ぶために神戸大学附属病院へ転職。
男性不妊を専門として臨床経験を積む傍ら、神戸大学大学院へ進学し研究にも従事した。
大学院卒業後は神戸大学にて教鞭をとりつつ、泌尿器科全般の臨床に従事し、腹腔鏡手術の技術認定医も取得。
神戸医療センター西市民病院副医長を経て、専門分野をより深く極めるために英ウィメンズクリニックへ就職。
男性不妊に留まらず、不妊をトータルで診療するために、婦人科診療も行っている。
二宮 英樹(にのみや ひでき)
医師、データサイエンティスト。福岡県出身。東京大学医学部卒業。専攻は公衆衛生学。
東京大学医学部卒業後、関西医科大学枚方病院、セレオ八王子メディカルクリニックなどで診療に従事。薬や手術に頼るだけではなく、コミュニケーションや触れ合いを活かした診療をモットーに患者との対話を重視する一方、データサイエンティストという異色の肩書きを持ち、医療技術や医薬品などの有効性について原典にあたり、評価手法やデータの有効性について常に確認を欠かさない。
地域包括ケア研究所にて医療局長を務め、医療者として地域社会のひとりひとりのための医療や正しい知識の普及活動に従事している。これまでヘルスケアメディアを通じて、正しく、分かりやすい健康情報の発信に携わってきており、医療や健康は一人ひとりの個人差がとても大きいため、個人にあわせた情報を記事で発信することの難しさを実感。情報を丁寧に紐解くことで、自分にあった正しい情報が分かるような発信を心がけている。
阿部 裕紀(あべ ひろき)
薬剤師。東京都出身。星薬科大学薬学部卒業。専攻は薬物治療学。
現在、化粧品会社に製造責任者という立場で品質管理などに携わる傍ら、薬に頼らないセルフケア(予防)を追求し、啓蒙活動を行う。ドラッグストアでの勤務経験を活かし、ライフスタイルに合わせた健康食品やサプリメントのアドバイスなども行う。
個人的には、薬はあまり好きではなく、自然なもの(食品に近いもの)で身体の不調を治すことを常に考え、アドバイスを行っている。
本記事の執筆者
ベビーライフ研究所編集部
ベビーライフ研究所では、妊活に取り組む多くのご夫婦に向けたタイミング法キットや栄養補給サプリメント等の商品を取り扱っています。
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