男性妊活には亜鉛を!精子への効果や摂取方法について
不妊症は主に女性に原因があるとされていたのも今は昔。WHO(世界保健機関)が発表した不妊症原因の統計で不妊症の原因は41%が女性側、24%が男性側、24%が男女両方にあります。そのため不妊の原因の約5割には男性が関係しています。
男性不妊の対策として話題に出てくることが多いのがサプリメントを活用したセルフケアですが、必ず取り上げられるのが「亜鉛」です。海外ではセックスミネラル、とも呼ばれる亜鉛ですが、亜鉛と男性妊活の関係について調べてみました。
亜鉛がセックスミネラルと呼ばれる理由
亜鉛はミネラルのひとつでタンパク質の合成やDNAの代謝において重要な役割を担っています。筋肉や肝臓、前立腺、精巣等に含まれていますが、精液に多く含まれていることが分かっています。亜鉛がセックスミネラルと呼ばれる理由は男性の精巣の働きや生殖器官、性欲等に大きく関係しているからです。
亜鉛が欠乏すると様々な変化が体にあらわれますが、変化の一つとして男性ホルモンの一種、テストステロンが低下すると考えられています。このテストステロンは男性の生殖機能や性欲に関わりが深いホルモンです。そのため男性不妊の治療として亜鉛が期待され、いくつかの研究がなされてきた経緯があります。
亜鉛が男性不妊対策サプリとされるのはなぜ?
亜鉛が男性の生殖器や性欲、勃起力等に大きく影響を与えるミネラルだということはわかりましたが、なぜ男性不妊の対策として亜鉛が必ず出てくるのでしょうか?その理由を見ていきましょう。
精子の量を増やす働きがある
まず、亜鉛には精子の量を増やす働きがあると言われていることが理由の1つに考えられます。但し、精子そのものの成分はほとんどがたんぱく質であることから、その材料として亜鉛を供給することで精子が増えるということではなく、前述したようにテストステロンの分泌が促されることで、精子と精液の量が増加するという理解になります。
これは男性不妊の最も大きな原因として精子の問題があることも関係していると思われます。精子の問題としては精子の量が少ない、精子が全く作られない、精子は作られるけれど運動性が低い、などが考えられますが、どれも不妊につながる可能性があるものです。
研究によると、男性不妊の男性に対して1日あたり24mgの亜鉛を45日から50日間摂取させたところ、精子の数が増え、テストステロンの分泌量が増えたという結果が得られました。同様の実験に参加したカップルのうち9組が妊娠しました。
精子の運動量が向上する
また、他の研究では亜鉛の摂取により精子の運動性が向上したという報告もあることから、亜鉛を摂取することによって精子の数が増え、運動率が向上するなどの精子の質の向上が期待できるようです。そのため、亜鉛の摂取が精子の問題による男性不妊の解消につながる可能性がある、と言えそうです。
亜鉛が含まれる食べ物
精子の増加や質の向上に対して亜鉛が一定の効果を発揮することが期待できそうなのはわかりましたが、亜鉛を摂取するにはどのような食材を摂取すればよいのでしょうか?亜鉛が豊富と言われている食材には次のようなものが挙げられます。
・牡蠣
・レバー
・豆腐、納豆など大豆製品
・チーズ
・アーモンド等ナッツ類
亜鉛といえば牡蠣を連想する方が多いかと思いますが、100gの牡蠣におよそ13mgの亜鉛が含まれています。その他、豚のレバーであれば100gあたり約7mgの亜鉛が含まれています。
食事だけでは不十分!亜鉛はサプリからも摂取を推奨
成人男性が1日に摂取するとよい亜鉛の量は10~12mg。前述のように亜鉛を含んでいる食材はいろいろありますので、食事で亜鉛を摂取すればいいのでは?と思いますよね。しかし、実際に食事だけで1日に必要とされる量の亜鉛を摂取するのはかなり難しいでしょう。
牡蠣に亜鉛がたくさん含まれているといっても、毎日牡蠣を食べるような食生活は現実的ではありません。牡蠣以外にも魚介類や牛肉などにも含まれていますが、亜鉛を含む食品だけをとる食生活を継続することはできません。
また、亜鉛は吸収が良くないことでも知られています。インスタント食品や加工食品に含まれる食品添加物を摂ると亜鉛の吸収が悪くなります。しかも、ストレスの蓄積や飲酒等によっても亜鉛の消費量が増えることがわかっており、忙しい現代人にとって亜鉛は日常的に不足しがちな栄養素となっているのです。
そのため、食事でなるべく亜鉛を摂れるように配慮しつつ、サプリメントを使って上手に足りない分を補う、という形が現実的かつ理想的な亜鉛の摂取方法となります。
亜鉛だけではダメ!男性不妊のサプリメントの選び方
亜鉛が精子の質・量を向上させ、性欲や勃起力等にも良い影響を与える効果が期待できるということがわかりました。しかし、精子の量や質を向上させるには亜鉛だけではなく、栄養バランスの良い食生活を送ることが大切。
その上で、精子にとって良くない活性酸素を除去する働きをしてくれるビタミンEやコエンザイムQ10等の栄養素の他、ビタミンCやその他の成分も一緒に摂れるような男性不妊、妊活に特化したサプリメントを選ぶことがより効果的なセルフケアへと繋がります。サプリメントを購入する際には成分をしっかり確認した上で、信頼できる品質のものを選びましょう。
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【この記事の監修】
江夏 徳寿(えなつ のりとし)
医師、英(はなぶさ)メンズクリニック 院長。鹿児島大学医学部卒業、神戸大学大学院医学研究科卒業。生殖医療専門医。泌尿器科専門医。指導医。
大学卒業後、済生会福岡総合病院にて研修医として従事。その後亀田総合病院にて泌尿器科後期研修医プログラムを終了し、より専門的な分野を学ぶために神戸大学附属病院へ転職。
男性不妊を専門として臨床経験を積む傍ら、神戸大学大学院へ進学し研究にも従事した。
大学院卒業後は神戸大学にて教鞭をとりつつ、泌尿器科全般の臨床に従事し、腹腔鏡手術の技術認定医も取得。
神戸医療センター西市民病院副医長を経て、専門分野をより深く極めるために英ウィメンズクリニックへ就職。
男性不妊に留まらず、不妊をトータルで診療するために、婦人科診療も行っている。
二宮 英樹(にのみや ひでき)
医師、データサイエンティスト。福岡県出身。東京大学医学部卒業。専攻は公衆衛生学。
東京大学医学部卒業後、関西医科大学枚方病院、セレオ八王子メディカルクリニックなどで診療に従事。薬や手術に頼るだけではなく、コミュニケーションや触れ合いを活かした診療をモットーに患者との対話を重視する一方、データサイエンティストという異色の肩書きを持ち、医療技術や医薬品などの有効性について原典にあたり、評価手法やデータの有効性について常に確認を欠かさない。
地域包括ケア研究所にて医療局長を務め、医療者として地域社会のひとりひとりのための医療や正しい知識の普及活動に従事している。これまでヘルスケアメディアを通じて、正しく、分かりやすい健康情報の発信に携わってきており、医療や健康は一人ひとりの個人差がとても大きいため、個人にあわせた情報を記事で発信することの難しさを実感。情報を丁寧に紐解くことで、自分にあった正しい情報が分かるような発信を心がけている。
阿部 裕紀(あべ ひろき)
薬剤師。東京都出身。星薬科大学薬学部卒業。専攻は薬物治療学。
現在、化粧品会社に製造責任者という立場で品質管理などに携わる傍ら、薬に頼らないセルフケア(予防)を追求し、啓蒙活動を行う。ドラッグストアでの勤務経験を活かし、ライフスタイルに合わせた健康食品やサプリメントのアドバイスなども行う。
個人的には、薬はあまり好きではなく、自然なもの(食品に近いもの)で身体の不調を治すことを常に考え、アドバイスを行っている。
本記事の執筆者
ベビーライフ研究所編集部
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