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男性不妊とは?男性不妊の主な原因について

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【監修】
江夏 徳寿:
医師、英(はなぶさ)メンズクリニック 院長。
鹿児島大学医学部卒業、神戸大学大学院医学研究科卒業。生殖医療専門医。泌尿器科専門医。指導医。

二宮 英樹:
医師、データサイエンティスト。福岡県出身。東京大学医学部卒業。専攻は公衆衛生学。

※詳細プロフィールは記事の最後に記載しております

近年、不妊症で悩むカップルが増加の傾向にあります。

不妊症とは、日本産婦人科学会の定義によると、定期的に夫婦の営みがあり、避妊をしていないが、1年以上妊娠をしていないこと。

厚生労働省が発表した平成14年度の不妊治療患者数は、推計で466,900人。

治療をせずに諦めてしまっている人も含めると、さらに多くのカップルが不妊で悩んでいることが想像できます。

一般的に、不妊の原因は女性側にあるというイメージがありますが、WHO(世界保健機構)によると、実は不妊症の48%は男性が原因だということが分かってきました。

不妊治療は女性のみが受けるものという考えは、私たちの思い込みによるものだったのです。

男性不妊の種類と対策

男性が不妊とされた場合、その原因の多くは精子に関する問題で、中でも元気な精子をつくりだすことができない「造精機能障害」が大きな原因とされています。

男性が1回の射精で放出する精子の数は数億個あり、その99%が子宮にたどり着く前に死滅。

そして子宮に入り、かつ卵子の周囲まで到達できるのは数百個以下となってしまいます。

この過酷な戦いを勝ち抜けるほど精子が元気であれば妊娠できますが、元気の無い精子では、妊娠できる可能性が低くなってしまいます。

元気な精子をつくれない「造精機能障害」は、先天性と後天性のものがあります。

先天性は、遺伝的な要因のほか、発育段階での何らかの影響により性機能が不全になってしまうこと。

後天性は、食生活や生活環境の変化、ストレス、喫煙、睡眠不足などの環境によるものや、おたふくかぜや精巣上体炎などの病気によるもの、抗癌剤やホルモン剤といった薬の影響など、原因はさまざまです。

多くの先進国のデータで、成人男性の精子数が減少しているという研究結果も発表されており、元気で正常な精子をつくれない男性は、確実に年々増加の傾向にあります。

男性不妊の主な種類と対策

乏精子症(ぼうせいししょう)

精液の中に精子の数が明らかに少ない状態のこと。

自然妊娠には精子の数は4,000万以上、運動率50%以上であることが望ましいとされています。

精子の量が少ないため妊娠しにくい傾向にありますが、タイミング法(排卵の時期をみて性交渉を行う)などで、妊娠しやすい日を狙うと、妊娠の可能性が高まります。

精子の数は良くても運動率が低めの場合は、卵子まで到達する精子数が少ないため妊娠できない場合もあります。

無精子症(むせいししょう)

無精子症とは、男性の精液中に精子が無い状態のことです。

しかし精液中に精子がいなくとも、精巣内に精子がいるのなら、不妊治療にて顕微鏡受精などが可能となるため、先ずは検査をすることが重要です。

無精子症には、閉塞性と非閉塞性の二通りがあります。

閉塞性無精子症(へいそくせいむせいししょう)

無精子症の一つが、閉塞性無精子症です。

精子はつくられているが、「精管(精巣から精子が体外へ出ていける経路)」の一部がつまっているなどの原因により、精子が運ばれずに起こる症状のことです。

医療機関での治療により精巣内精子採取術(TESE)によって精子を回収し、顕微授精(ICSI)によって妊娠できる可能性があります。

非閉塞性無精子症(ひへいそくせいむせいししょう)

無精子症のもう一つが、非閉塞性無精子症です。

これは精子の通り道は問題ないけれど、精巣自体の造精機能が非常に低いため、精子がそもそも作られていなかったり、作られていたとしてもごくわずかで精液中に出てくるほどではないという状態です。

医療機関での顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro-TESE)によって精子が回収できれば、顕微授精(ICSI)によって妊娠が可能となる可能性もあります。

精子無力症(せいしむりょくしょう)

正常な精子の数があっても、元気に動いている精子が少ない状態のことを言います。

精液検査を行い、精子のなかで十分な運動ができる精子が40%未満の場合、あるいは前身している精子が32%未満だと、精子無力症とされます。

なかなか妊娠に至らない場合は、運動精子濃度を高める精液調整を行って、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)を行うことが考えられます。

精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)

睾丸(精巣)に、血液が逆流して精巣の静脈血管が瘤(こぶ)状に腫れているものを、精索静脈瘤といいます。

血液がスムーズに流れることができなくなることで、睾丸の温度が上昇。

その結果、精子をつくる機能に悪影響を与えてしまいます。自覚症状はありませんが、まれに陰嚢の違和感を自覚することがあります。

男性不妊患者の30%近くに認められているものの、あまり知られていません。

程度に合わせて薬物療法から外科的手術などの方法があり、治療により改善し、自然妊娠する可能性があります。

勃起不全(ED)(ぼっきふぜん)

勃起不全とは、性交時に有効な勃起が起こらずに性交が行えない状態、または勃起が一定時間維持できない状態のこと。

現在私たち日本のED患者は1,100万人以上と言われており、ストレスなどの心因性も原因となります。

性交渉する時はリラックス状態が望ましいですが、それでも性交に至ることができない方は、ED治療薬などを処方されることもあります。

膣内射精障害

性交できる程度には勃起しても、女性の膣内で射精できなくなってしまう状態です。

これもストレスや飲酒のしすぎなどが原因になるほか、栄養不足によって起きることもあります。

男女の不妊の原因の割合は、男性因子もある場合が40%にものぼることが分かっています。

妊娠を望むのならば、一方的に自分は関係ないと思わずに、先ずは精液検査を受けることが大切です。

精液、その中の精子の状態をみることで、不妊につながる可能性があるかどうか判断できるからです。

原因が分かれば、食生活や睡眠、運動など、生活習慣の見直しで改善できるのか、内科的治療、外科的治療、そして人工授精・体外受精などが必要なのか、治療方法の選択が明確になります。

不妊治療は、男性も一緒に取組む時代なのです。

【この記事の監修】

江夏 徳寿(えなつ のりとし)

医師、英(はなぶさ)メンズクリニック 院長。鹿児島大学医学部卒業、神戸大学大学院医学研究科卒業。生殖医療専門医。泌尿器科専門医。指導医。
大学卒業後、済生会福岡総合病院にて研修医として従事。その後亀田総合病院にて泌尿器科後期研修医プログラムを終了し、より専門的な分野を学ぶために神戸大学附属病院へ転職。
男性不妊を専門として臨床経験を積む傍ら、神戸大学大学院へ進学し研究にも従事した。
大学院卒業後は神戸大学にて教鞭をとりつつ、泌尿器科全般の臨床に従事し、腹腔鏡手術の技術認定医も取得。
神戸医療センター西市民病院副医長を経て、専門分野をより深く極めるために英ウィメンズクリニックへ就職。
男性不妊に留まらず、不妊をトータルで診療するために、婦人科診療も行っている。

二宮 英樹(にのみや ひでき)

医師、データサイエンティスト。福岡県出身。東京大学医学部卒業。専攻は公衆衛生学。
東京大学医学部卒業後、関西医科大学枚方病院、セレオ八王子メディカルクリニックなどで診療に従事。薬や手術に頼るだけではなく、コミュニケーションや触れ合いを活かした診療をモットーに患者との対話を重視する一方、データサイエンティストという異色の肩書きを持ち、医療技術や医薬品などの有効性について原典にあたり、評価手法やデータの有効性について常に確認を欠かさない。
地域包括ケア研究所にて医療局長を務め、医療者として地域社会のひとりひとりのための医療や正しい知識の普及活動に従事している。これまでヘルスケアメディアを通じて、正しく、分かりやすい健康情報の発信に携わってきており、医療や健康は一人ひとりの個人差がとても大きいため、個人にあわせた情報を記事で発信することの難しさを実感。情報を丁寧に紐解くことで、自分にあった正しい情報が分かるような発信を心がけている。

本記事の執筆者

ベビーライフ研究所編集部

ベビーライフ研究所編集部
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