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精液が透明?原因と妊娠率への影響や改善方法について解説

コラムイメージ写真

射精したら精液の色が透明だった、もしくは薄かった経験はありますか?

精液の色が透明だと、からだになにか異常があるんじゃないか、もしかして精子がまったくないのでは…と不安になってしまうと思います。

今回は、精液が透明になってしまう原因やそれが妊娠のしやすさに関係があるのか、改善は可能なのかという疑問を徹底解説していきたいと思います。

なぜ精液が透明に?原因について

精液が透明だからといって全てのケースが精子が少なく妊娠は望めない、というわけではありません。

透明な場合の原因は様々考えられるため、まずはどのような原因があるのか注目してみましょう。

射精の頻度が高い

まず1つめに考えられるのが、射精頻度の高さです。

精子・精液は毎日男性のからだの中で作り出されるものですが、もちろんその量には限りがあります。

そのため短い期間で複数回の射精をすると精液が薄くなることがあり、少し回数を抑えて透明ではなくなった場合はこの可能性が高いと思われます。

しかし、かえって射精を控えすぎてしまうと精子の質が悪くなってしまうため、過度な禁欲期間は設けないようにしましょう。(禁欲期間を設ける場合は2〜7日がまでが理想)

精子の不足

上記のような射精頻度の高さを伴わない場合は、造精機能障害などのなんらかの異常により、精子の量が不足していると考えられます。

造精機能障害とは精子を作り出す機能に問題が生じ、うまく精子を作ることができない状態のことを指します。

例えば、精索静脈瘤という病気の場合、陰嚢内の精索静脈が腫れることで精巣の温度の上昇や血流の悪化が起こり、精子を作る機能に問題が生じてしまいます。

また、造精機能障害は原因不明のものも多く、男性不妊の原因としても特に挙げられる症状です。

精子や精液にはWHOが2021年に発表した基準があり、精子濃度が1600万/ml未満の状態を乏精子症、そもそも精子が見つからない状態を無精子症と言います。

これらの症状によって精子が少ないと、精液が透明になってしまうことがありうるのです。

精子の通り道に問題がある

精子を作り出す機能に問題がなくても、精路(精子の通り道)に問題があり、射精においてうまく出てこない場合もあります。

これは、先ほど紹介した無精子症のうち「閉塞性無精子症」と呼ばれるもので、精管や射精菅などどこかしらの通り道に問題があります。

妊娠しやすさに影響はある?男性不妊との関係性

ではこの透明な精液が出る場合、妊娠のしやすさに影響はあるのか気になりますよね?これは実際に影響がある場合とそうでない場合があります。

まず最初に紹介した、射精の頻度が高くて透明な場合は一時的なものであり、精子の数や精子を作る機能に問題がないため、妊娠のしやすさには影響しません。

ですが、精子の数が少ない場合や精路に問題がある場合は自然妊娠が難しくなり、このような症状によって妊娠が生じないことを「男性不妊」と呼びます。

不妊や不妊症という言葉を聞くと、女性のものというイメージの方もいるかもしれませんが、不妊症の原因の約50%は男性側にあります。

そのため、透明な精液が出ることが続く場合は不妊症の疑いがあります。

しかし不妊症には、透明な精液のように「目に見えて分かる異常」がないものも数多く存在します。

また、透明な精液の原因として射精頻度の高さが思い当たっても、本当は精子に異常があるんじゃないか…と不安になってしまう方もいると思います。

そこで大切になってくるのが「精液検査」と呼ばれるものです。

精液検査とは、マスターベーションで採取した精液を詳しく調べることで、以下の項目を知ることができるものです。

  • 精液量
  • 精子濃度
  • 総精子数
  • 正常精子形態率
  • 前進運動率
  • 総運動率
  • 白血球数

この検査は主にクリニックで受けることができるほか、自宅にて行うこともできるため、不安を感じた方はこの精液検査を受けることをおすすめします。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

また、おすすめの検査キットはこちら。

精液の濃さや色で見る健康状態

精液は透明な状態だけではなく、少し薄く見えたり逆に濃い色に見えることもあります。

ではこのような精液の状態の差はいったい何なのでしょうか?

ここからは、透明ではない場合の精液から見る健康状態についてまとめていきます。

白色

精液の基本的な色は白です。

これは、精液に含まれる成分の多くを占める「精しょう」という物質の影響によるものです。

精しょうは前立腺と精嚢から分泌されるもので、白い色をした前立腺液から影響を受けることで白くなります。

精液のうち多くの割合を精しょうが占めているため、この反応によって精液が全体的に白くなる、というわけです。

黄色

次によく見られるのが、黄色がかった精液です。

黄色い精液には、問題のない場合とそうでない場合が存在します。

まず問題がないのは、尿や精嚢液などもとから黄色い物質の影響を受けている場合です。

長期間射精をしていない場合、溜まった精液に尿や精嚢液などの黄色い成分が影響することがあり、普段よりも黄色くなってしまうことがあります。

この場合の黄色い精液は、特段精子の状態が悪いというわけではないためあまり気にしなくて大丈夫です。

問題なのは、黄疸という病気の場合と、膿精子症という症状が現れている場合です。

黄疸とは、ビリルビンという血液の中にある物質が増加し、皮膚や目が黄色っぽく変色する病気であり、精液が黄色がかることもあります。

黄疸が出てきた場合、肝臓や膵臓に何らかの異常があることが多いため、注意が必要です。

また、膿精子症とは精液中に過度の白血球が含まれることを指しており、その影響で精子の運動率が低下してしまいます。

黄色い精液が長い期間出るようでしたら、まずはクリニックに行くようにしましょう。

赤・茶色

赤や茶色の精液が出てきた場合は、血液が混ざっていることが多く見られます。

精液に血液が混ざっていることを血精液症と言い、主に30〜40歳の男性に多いと言われています。

その多くは突発性血精液症という一時的なもので、前立腺や精嚢の細かい血管からの出血が考えられますが、何かしらの疾患が原因の二次性血精液症の場合は注意が必要です。

二次性の場合、前立腺の炎症や前立腺・尿路結石、肝臓病などの影響の可能性があるほか、まれに前立腺や睾丸などのがんの可能性もあります。

精液が赤いだけではなく、血尿が出る・排尿時の痛み・睾丸、下腹部の痛みや違和感が続く場合はこの二次性である可能性を疑いましょう。

突然いつもと違う色の精液が出てきたらびっくりしてしまうと思いますが、精液はそれだけからだの状態に左右されるデリケートなものなのです。

今回紹介してきた原因のほかにも、性病にかかってしまった場合や生活習慣、食べるものでも精液の状態は変化します。

最初は違和感も少ないかもしれませんが、それが長く続く場合は何かしらからだに異常がある可能性を考え、検査を受けるようにしましょう。

透明な精子(精液)の改善方法

では透明な精液が出てきた場合、どのような方法で改善することができるのでしょうか。

身近な生活習慣の改善からクリニックでの専門的な治療まで詳しくまとめていきます。

禁欲期間を設ける

透明な精液の原因として射精頻度が高い場合を挙げましたが、その場合精液が透明になるのは一時的なものです。

そのため禁欲期間を設けることで十分な精子が作り出され、射精を行うことで再び通常の白色に戻ることがあります。

精液を十分作り出すには健康的な男性で約2日と言われているため、まずは2日を目安に禁欲期間を設けましょう。

それでも戻らない場合は別の原因が考えられるため、クリニック等での詳しい検査にステップを移行しましょう。

生活習慣の改善

生活習慣が乱れてしまうと、精子の質も悪くなっていってしまいます。

具体的に気を付けたいのが以下の項目です。

  • 飲酒・喫煙を控える
  • 食事の栄養バランスに気を付ける
  • 適度な睡眠時間を確保する
  • 適度な運動をする
  • ストレスをため込みすぎない

これらを一気に意識して全て改善するのはなかなか難しいですし、かえってストレスが溜まり逆効果になってしまう場合もあります。

そのため、自身のペースに合わせて徐々に生活習慣を改善していくように意識してみましょう。

亜鉛を摂取する

次に紹介する方法は亜鉛の摂取です。

亜鉛は、名前は聞いたことがあるけど具体的にどんな効果があるのか知らない…という方も多いと思いますので、まずは亜鉛の効果を紹介します。

亜鉛は私たちのからだの健康を維持する大切な成分である一方、精液を作る材料の1つでもあり、いくつもある材料の中で特に重要なものとなっています。

その中での大きなはたらきが男性ホルモンの生成です。

男性ホルモンには基本的に筋肉や骨の強度の維持や抗肥満作用、造血作用などが存在します。

それに加えて男性ホルモンは性機能の維持や精子生成のはたらきもあるため、男性ホルモンが減少すると性欲が低下してしまうほか、精子形成に影響が出るとされています。

そのため亜鉛が体内で不足してしまうと、この男性ホルモンの分泌が低下してしまうため、精子の数が少なくなってしまう、という関係性なのです。

この亜鉛ですが、人のからだでは作り出すことができないため、食材から摂取する必要があります。

亜鉛を多く含む食材は、以下の通りです。

  • 生牡蠣
  • 豚レバー
  • 納豆
  • 鶏卵
  • うなぎ

そのほかにも亜鉛を含む食材は数多く存在しますが、毎食亜鉛を意識して食事することはなかなか難しいと思います。

そんな時はサプリを使って亜鉛を取ることもおすすめです。

ですがあまりサプリに頼りすぎるのも良く無いほか、亜鉛の摂取のし過ぎにも気を付けなければいけないため、適度に自身の取りやすい摂取方法を用いましょう。

不妊治療に移行する

精液が透明な原因によっては、不妊治療が必要な場合があります。

まずは精液検査や血液検査などから詳しい原因を突き止め、治療に移行します。

男性不妊症において、精子が少ない場合に多く行われるのが精索静脈瘤手術というものです。

これは精索静脈瘤によって精巣の温度が上がっており、造精機能が低下している場合にそれを解消する手術です。

このほかにも、精巣から直接精子を取り出す精巣内精子採取術と呼ばれるものや、投薬治療など多くの治療手段が存在するため、諦めずに妊娠を目指していきましょう。

気になる方は医療機関に相談

不妊症の治療はスピードがとても大切です。

基本的に自覚症状が少ない不妊症の中でも、「精液が透明」という点は自分で気付くことができる大切なサインの1つでもあります。

では実際に医療機関に相談する際は、どこに行けばよいのでしょうか?

精液の異常に関しては、まず泌尿器科に相談しましょう。

精液検査に関しては主に以下の場所で受けることが可能です。

  • 不妊治療専門クリニック
  • 男性不妊専門クリニック
  • 産婦人科
  • 泌尿器科

現在は精液検査を受けられる場所も増えてきていますが、事前にどのような項目を調べられるのか、費用はどれぐらいなのかなど調べておきましょう。

また、今後妊娠に向けて妊活を進めていく方も、精液の異常に関係なく一度精液検査を受けておくことで、妊活の方向性も決めやすくなります。

まずはパートナーとともに、自分たちのからだがどのような状態なのかを把握することをおすすめします。

まとめ

精液が透明な原因は様々ですが、仮に大きな異常がなかった場合でも最初は不安になってしまいますよね。

男性の不妊症は自覚症状がないことがとても多いため、自身が不妊症だと気付かず妊活を進めてしまう人も多く存在します。

そんな中でも精液が透明というのは、不妊症に気付くための大切なきっかけでもあります。

何かしら精液に異常が見れた場合は、まず精液検査を行うことを心掛けましょう。

そして普段からも精子の質を高めることを意識して、より効率の良い妊活を進めていきましょう。

本記事の執筆者

ベビーライフ研究所編集部

ベビーライフ研究所編集部
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本記事の監修者

藤本 彩巴(ふじもと あやは)

藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
生殖補助医療胚培養士資格、体外受精コーディネーター資格を取得。生殖細胞の操作以外にも、患者様夫婦とお話をする機会があり、その際、不要な治療を続けているご夫婦が多いことに気がつき、現在は食事・運動・睡眠の見直しを促す発信をしている。不妊治療はあくまでサポートであり、対処療法に過ぎないため、本来の身体の機能を最大限発揮できるようなポイントを、ご本人の生活に寄り添った内容でお届けしている。

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