郵送でできる精子検査ってどんなもの?
郵送精子検査をすることの意味
「郵送精子検査で何がわかるんですか?」「クリニックで行う精子検査とどう違うの?」「郵送で正確な結果はでるのですか?」などの質問をたくさんいただきます。
多くの方が知りたいことは「子どもをつくる能力があるか調べられるか?」です。
■この検査でわかること
1回の射精での「精液量」「精子数」「精子濃度」「精子正常形態率」の4項目が検査できます。
郵送による簡易検査のため、郵送には1日~2日程度かかります。そのため精液採取後1-2時間以内に検査する必要のある「運動率」「直進率」は検査できません。
※1 精子正常形態率について:弊社の検査はWHOの基準に則って検査を進めています。ただし、郵便を利用した簡易式の検査である性質上、検査の制約があります。郵送の間に多くの精子は活性を失い、一部の精子はその形態を変化させることがわかっています。弊社では、明らかな異常所見を示さない細胞を正常精子と考え、予測正常形態率として報告いたします。そのため、病院における検査と比較した際に誤差が生じることが予測されます。検査機関での検査を1次スクリーニングとして利用し、詳しい検査は必ず病院で行ってください。検査方法は原液検査(一部抽出検査)で実施しています。
運動率がわからないなら、検査をやる意味がないのではと言われることがありますが、決してそんなことはありません。自分の精子の数や精液の量が、「基準に比べて多いのか少ないのか」という現状把握が、実はとても重要な男性妊活の最初の大きな一歩なのです。
なぜ現状把握が必要なのか
男性不妊の原因とされるものは、大きく分けて3つあります。
- 精子を作れない、またはたくさん作れない
- 精子は作られているものの、通り道が詰まっているために射精した精液中に精子が全く見当たらない
- 性交渉が出来ない(射精できない、勃起できない)
精子に問題があっても、多くの場合は自覚症状はなく、自分で気づくことはまずないと言われます。
そのため運動率がわからない状況でも、精子の数や濃度が基準に比べて少ない(乏精子症)・見当たらない(無精子症)場合は、人工授精や体外受精、顕微授精などの対象となり、クリニックでの不妊治療が必要となります。
射精精液中に精子が見当たらない無精子症の場合は、男性不妊の専門の泌尿器医科で詳しく検査を受け相談しましょう。精巣に精子があれば妊娠の可能性はあります。
実は精子も加齢とともに徐々に機能が低下します。精巣の大きさも少しずつ小さくなり、男性ホルモンを作る力も穏やかに弱くなっていきます。女性と同様に男性も35歳を過ぎると不妊治療による出生率が下がるという報告もあります(※3)そのため早めの現状把握が必要になります。
ただし、精子検査は体調により結果に大きくばらつきがあるものです。同じ人でも「精子の数が少ない」結果が出た場合でも、次に検査すると問題ないこともあります。検査は複数回されることをおすすめします。
検査結果はどう見るのか
検査結果は、「基準値」「平均値」と比較することで、自分の状況を確認します。
◆基準値とは
※2 上記の精液検査の基準値は最低限のレベル(これ以上はないと妊娠がむずかしい)を示したものです。精子濃度が著しく低いもの(1500万/1ml以下)は乏精子症と言われます。ただし体調や環境によりばらつきが非常に大きいため、診断には複数回の検査を要します。なお、1500万/1ml以下であれば人工授精、300万/1ml以下であれば体外受精、100万/1mlであれば顕微受精の対象となります。
郵送精子検査での「基準値」はWHO(World Health Organization:世界保健機構)で定めた値です。
具体的には、世界各国で自然妊娠させることが出来た男性から採取した精液の最低値で、つまりこれ以上無いと自然妊娠は難しいといった値です。
◆もう一つの参考値「P社平均値」
これはベビーライフ研究所で検査をした方の平均値です。(運営元のパスクリエイト株式会社の頭文字を取って「P社」としています)
通常、健康な男性の精子濃度は7000万/1ml以上と言われておりますが、ある程度大雑把な数値です。それは普通に妊娠した男性は精液検査を受けることがないからです。そのため精子検査を受けた方の平均を参考値として記載しています。
◆実際の検査結果はこんな感じ
まとめ
精子の数や運動率をよくする確立された治療法は医学的にありません。生活習慣の改善や、バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。
精子検査は産婦人科や泌尿器科、男性専門の不妊外来などで実施していますが、クリニックに行くのはスケジュール的にも心理的にもハードルが高いと思われる方も多いのではないでしょうか。早めの現状把握のために、まずはスクリーニングとして郵送精子検査をおすすめします。
本記事の執筆者
ベビーライフ研究所編集部
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