わかりやすい妊娠のしくみ③ 卵子と精子がうまく出会うためには

前の2回で、精子・卵子それぞれの特性をお話ししてきましたが、3回目はようやく本題「妊娠」に近づいてきました。
妊娠がおこるためには、まずは、卵子と精子が出会う「受精」、そして「着床」が行われなくてはなりません。
- 「受精」とは
卵子と精子が融合して、1つの細胞(受精卵)になるまでの過程を言います。 - 「着床」とは
受精卵が卵管を通って子宮内膜にくっつき、内膜の中に入っていくまでを言います。
どういった条件が揃うと「受精」「着床」が行われるのか、お話ししていきます。
卵子と精子 それぞれの寿命について
■卵子の寿命
排卵後、わずか24時間程度(12~24時間)で死んでしまいます。■精子の寿命
女性体内での精子は長くて5日、平均72時間(3日)程度生存可能です。

以上のことから精子は卵子の3倍くらい長生きです。ですので、精子が卵子を待ち受けるのが受精にとっては都合がよいのです。
受精はどこで行われるの?
性交によって女性の子宮に入った精子は卵管を通って、卵管の先まで向かいます。(図参照)
精子が卵管の先に向かって卵子に出会うことで「受精」が起こります。

では、いつ性交するのが効果的なの!?
クリニックでの不妊治療の中でも、性交による妊娠の可能性がある場合は、まず最初に「タイミング指導」を行います。
最も妊娠しやすいのは排卵日の前々日であり、次に前日といわれています。
下の図を見てください。排卵日の6日前の性交から妊娠の可能性があり、排卵7日以前と排卵翌々日以降の妊娠率はほとんどないことから、排卵5日前から1日~2日おきの性交を「タイミング指導」としているのです。*1)

またこの期間は女性の子宮の入口である、子宮頸管を満たす粘膜の量が増え、粘り気が少なくなり、伸びやすくなり精子が侵入しやすくなって、受け入れる準備をしています。
*1)日本産婦人科医会 「タイミング」
https://www.jaog.or.jp/lecture/9-%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0/
まとめ
・卵子の寿命は24時間ていど
・精子の寿命は卵子の3倍
・受精は卵管の先で起こる
・性交のタイミングは排卵2日前がベスト!次に排卵前日!
最後の4回目は「着床」についてお話しします。