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シリンジ法と人工授精との違いについて

コラムイメージ写真

妊活の選択肢は様々な形があり、不妊治療と合わせるとその数は近年増えてきています。

そんな中で最近話題なのがシリンジ法です。シリンジ法は、「シリンジ法のキット」という針のない注射器のような専用器具を使い、マスターベーションで採取した精液を膣内に直接送り込む方法で、性交の必要がありません。この説明を聞くと、それって人工授精じゃないの?と疑問に思う方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、シリンジ法と人工授精ではどのような違いがあるのか、注入場所の違いや費用、メリット・デメリットなどを比較していきます。

シリンジ法とは

まずシリンジ法について詳しく解説していきます。シリンジ法は、「シリンジ法のキット」という針のない注射器のような専用器具を使い、男性がマスターベーションで採取した精液を女性の膣内に直接送り込む方法です。

妊活の1つにタイミング法という、排卵日を予測しもっとも妊娠しやすいタイミングで性交渉性行為を行うというものがありますが、シリンジ法はこのタイミング法を活用した妊活方法です。

タイミング法を進める中で

  • 仕事の疲れが原因で、タイミングに合わせた性交渉が難しい
  • 妊活へのプレッシャーから性交渉への気持ちが向かない
  • 子供は欲しいけど、そもそも性交渉が苦手
  • タイミングの時期に複数回の性交渉を行いたいものの、連日の性交渉は負担に感じる

などの悩みを抱えている人は少なくありません。このような悩みを抱えながら妊活を行っているカップルには是非試してみてほしい方法がシリンジ法なのです。

シリンジ法の具体的な手順は以下の通りです。

①マスターベーションにより、男性の採精を行う。(この時専用の採精カップに精液を入れる)
②液状化液体化させるため5~10分程度置く。
③精液をシリンジで吸い上げるor注ぎ入れる
④シリンジを膣内に挿入し、精液を注入する

より詳細を確認したい場合には、meetaの商品を使ったシリンジ法のキットの説明動画をご覧いただくか、下記の記事より使い方をご確認ください。

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人工授精とは

次に人工授精について見てみましょう。

人工授精とは、女性の排卵期に合わせて、洗浄濃縮した男性の精子を子宮内に直接注入する方法です。

自然妊娠では膣に精液が入りそこから子宮に到達するのに対し、人工授精では直接子宮に精子を注入するので、精子と卵子が出会う確率が自然妊娠に比べて高いです。

人工授精は、以下のような方に向いています。

  • 精子減少症や精子無力症など、男性不妊症状がある
  • 性交障害や勃起不全
  • 精子の進入障害(女性に頸管粘液不全がある、抗精子抗体陽性など)
  • 精子に問題はないがタイミング療法を6周期以上行っても妊娠が成立せず、体外受精を行うことには抵抗が強い方

また、人工授精のメリットとして、自然な方法で受精させることができるという理由のほか、不妊治療の中では比較的からだの負担も少なく、安価に進めることができるという点があります。

シリンジ法と人工授精の違い

シリンジ法と人工授精についてまとめてきましたが、シリンジ法と人工授精は少し似ている?と感じた方もいるのではないでしょうか?

しかし、シリンジ法と人工授精は似ているようで全く違う方法なんです。

ここからは、1つのそれぞれの違いについて見ていきましょう。

精子の状態の違い

まず1つ目の大きな違いに、精子の状態があります。

シリンジ法では、男性がマスターベーションで採取した精液精子をそのまま膣内に注入しますが、人工授精では1度精子を洗浄・濃縮します。

これは、男性不妊症状によって精子の質が悪い場合、そのままの精子ではうまく受精できないことがあるからです。

そのため、洗浄濃縮して不純物(ゴミ、細菌、白血球など)を除去し、運動良好な精子を選び出すことで妊娠の可能性を上げるのです。

精液を注入する場所の違い

次に、精液を注入する場所の違いがあります。

通常、膣内に射精された精子は、子宮頸管子宮頚管内を泳いで子宮内腔子宮内膣を通り、卵管を通過して卵管膨大部に達する、と多くの過程を踏みます。

性交とシリンジ法ではまず膣内に精子が入るため、上記のような通常の過程で受精をします。

しかし精子はその過程の中で約100万分の1程度にしか卵管に届かないとされており、精子の運動率が低い場合その数はさらに少なくなってしまいます。

そのため人工授精では、より受精がしやすいように直接子宮に精子を注入します。

また、先ほどご紹介したように子宮に注入する前に精子を洗浄・濃縮しているため、精子と卵子が出会う確率が高くなるのです。

妊娠率の違い

そして皆さんが気になっていると思うのが、それぞれの妊娠率だと思います。

まずはシリンジ法ですが、こちらは膣内に採取したばかりの精子を注入するというやり方のため、自然妊娠と同じ程度の妊娠率と言われており、1周期あたり20~30%ほどです。

その一方で人工授精は、1回の施術あたり5〜10%ほどと言われています。

これだけ聞くと人工授精のほうが妊娠率が低いと感じるでしょうが、1周期あたりの妊娠率には複数回の性交の結果も含まれるのに対し、人工授精は1回の施術の結果のみです。

また、そもそも人工授精をされる方は男性不妊症状のある方など不妊治療の1つとして行われることが多いため、一概に人工授精は妊娠率が低い、とは言い切れません。

費用比較

妊活を続けていく中で気になるのが、やはり費用の面です。

クリニックによって差はありますが、人工授精の場合、検査や薬剤の費用を含め平均で約15,000円ほどかかります。

また、人工授精で妊娠に至った方の半数近くが3回以上行っているというデータもあり、複数回繰り返すことで費用の負担も大きくなってしまいます。現在は人工授精に対して補助金が出ますが、自治体によって金額が異なり、また補助金も1回きりの場合がありますので、やはり経済的に大きな負担がかかってしまいますね。

一方シリンジ法の場合は、病院で不妊治療を行うよりも安い費用で行うことが可能です。シリンジ法のキットの値段にもよりますが、1回あたり約500~1,000円程度で行えるほか、自宅で簡単にできるため、通院の費用も抑えることができます。

メリット・デメリット比較

ここまで人工授精とシリンジ法について、それぞれの詳細や費用の違いについてまとめてきましたが、では実際どのようなメリット・デメリットがあるのか、まとめてみましょう。

シリンジ法人工授精
メリット・費用が安い(1回500円程度)
・自宅で簡単に行える
・子宮に直接精子を注入するため、受精しやすい
・質の良い精子を注入できる
デメリット・精子はそのまま
・不妊症状がある場合は難しい
・費用がかかる(1回15,000円程度・複数回実施の場合もあり)
・通院が必要

やはりシリンジ法の1番のメリットは、その手軽さです。

妊活は仕事と並行して進めている方も多く、なかなか時間を割けない・経済的な負担が大きいといった声も多く聞きます。そのため、安い費用と自宅で行えるという点は、仕事をしながら妊活を進める方にとって様々な負担を大きく減らすことができます。

人工授精は費用こそ掛かりますが、その分質の良い精子を子宮に直接注入できるほか、不妊治療の中では身体への負担も少ないものとなっています。ですがどちらも、自身やパートナーの身体に明らかで重度な不妊の原因がある場合はシリンジ法では妊娠できません。

また、女性は年齢を重ねるごとに妊娠率も下がってしまうため、妊娠を目指すなら早めの動き出しが大切になってきます。

クリニックだからこそ出来ること

ここまではシリンジ法と人工授精のメリット・デメリットについてまとめてきましたが、では実際どのような妊活が自分の身体に合っているのか、簡単には決められませんよね。

もしこれから妊活にチャレンジしようと考えている方がいましたら、ぜひ早めのクリニックでの検査と夫婦で方向性を擦り合わせるための話し合いを行い、不妊期間や検査の結果に応じて治療についても検討することを推奨いたします。

シリンジ法だったら自宅でできるし、基礎体温を測って進めてしまってもいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、もし自身やパートナーの身体に不妊の明らかな原因がある場合、多くの時間を無駄にしてしまう可能性もあります。

また、クリニックでの検査・治療は様々な面で妊活の大きなサポートになります。

実際にどのようなものがあるのか、見てみましょう。

排卵誘発剤使用の検討

1つ目に、排卵誘発剤を使用するかどうかの判断です。排卵誘発剤とはその名の通り、排卵を促すための薬です。

通常、排卵に問題がない場合はそのまま自然排卵で妊娠を目指しますが、生理は来るものの排卵が起こらない無排卵周期症や、生理がない無月経などの排卵障害があると考えられる場合では排卵誘発剤が使われます。

また、排卵に問題がない場合でも、タイミング法でなかなか妊娠ができない、体外受精のために多く卵子を採取する、などの目的で使われることがあります。

この排卵誘発剤には経口薬と注射薬があります。経口薬は薬によってホルモンの分泌を促すもので、比較的副作用が少ないです。それでもあまり効果がない場合、次の段階として注射薬によって直接卵巣を刺激し排卵を促しますが、こちらは副作用の頻度が高いため、注意が必要です。

排卵誘発剤のリスクとして多胎率が増加する他、特に若年、やせ型、多嚢胞性卵巣刺激症候群の方は卵巣刺激症候群(OHSS)のリスクが高くなります。まずは病院でしっかりと検査を行い、自身のからだについて把握しておくことが必要です。副作用の症状についても予め下調べしておき、症状があった場合にはどうすれば良いか医師や看護師に確認しておくと良いでしょう。

排卵日を正確に特定するための超音波検査

シリンジ法と人工授精、どちらの場合も大事になってくるのが排卵のタイミングです。

その排卵のタイミングを正確に特定できるのが、超音波検査になります。超音波検査では、卵巣の中にある卵胞(卵子が入っている袋)の大きさを測り、排卵のタイミングを調べます。卵胞は1日に1.5〜2mm大きくなるので、例えば16mmの卵胞が見えたら、あと2~3日で20mmになって排卵するだろう、といった具合に推測することができます。

またそのほかにも以下のような項目を調べることができます。

  • 卵巣や子宮の異常
  • 子宮内膜の状態
  • 大きくなった卵胞がつぶれ、排卵をしているか
  • 妊娠の有無

そのため、自身の子宮や卵巣、卵子の状態を把握しておくためにも、超音波検査を受けておきましょう。

着床率を高めるための黄体補充療法

最後にご紹介するのは、黄体補充療法です。

女性は排卵後、卵胞が黄体に変化し、黄体ホルモンの分泌によって子宮内膜が厚く、妊娠に適した状態になります。ですがこの黄体ホルモンの分泌が少ない場合、子宮内膜の状態が悪くなり、受精卵が着床しにくくなってしまいます。

また、先ほど紹介した無月経や不妊症の原因の1つにも、黄体ホルモンの不足やバランスの崩れが関わってきます。そういった場合に行われるのがこの黄体補充療法です。黄体補充療法は名前の通り、黄体ホルモンを内服薬や注射によって補うものです。

黄体補充療法により黄体ホルモンの量を増やし、着床しやすい環境を作ることで、その周期の妊娠率を上げることが可能になります。

以上のように、クリニックでは様々な検査や治療を行うことで、身体の状態に合わせたサポートを受けることができます。妊娠率を上げるため、また妊活を自分やパートナーの身体の状態に合わせて段々とステップアップしていくためにも、早めにクリニックに行くことを心掛けましょう。

シリンジ法と人工授精の違いについてのまとめ

今回はシリンジ法と人工授精の違いについて見てきましたが、初めて知ったことも多かったのではないでしょうか。

シリンジ法という妊活スタイル自体はまだ世間に浸透していませんが、最先端の妊活方法として、徐々に認知度を高めています。一方人工授精も不妊治療の中では比較的身体への負担を少なく進めていくことができるため、多くの方が利用しています。

もちろん今回紹介した2つ以外にも、妊娠を目指すための方法は数多くありますが、どの方法にもメリット・デメリットが存在するため、リスクをしっかりと理解することが大切です。

そのためクリニックで検査をしたうえで医師としっかり相談し、費用やメリット、様々な面で自分に合ったものを見つけていきましょう。

シリンジ法と人工授精についてのQ&A

Q1.シリンジ法とはなんですか?

シリンジ法は、「シリンジ法のキット」という針のない注射器のような専用器具を使い、マスターベーションで採取した精液を膣内に直接送り込む方法で、性交の必要がありません。

Q2.シリンジ法はどのようにおこないますか?

具体的な手順としては、①マスターベーションにより、男性の採精を行う。(この時専用の採精カップに精液を入れる) ②液状化液体化させるため5~10分程度置く。③精液をシリンジで吸い上げる ④シリンジを膣内に挿入し、精液を注入する。

Q3.人工授精はどのようにおこないますか?

人工授精とは、女性の排卵期に合わせて、洗浄濃縮した男性の精子を子宮内に直接注入する方法です。

Q4.シリンジ法と人工授精の違いはなんですか?

・精子の状態の違い(シリンジ法は、男性がマスターベーションで採取した精液精子をそのまま膣内に注入しますが、人工授精では1度精子を洗浄・濃縮します。)・精液を注入する場所の違い(膣内に射精された精子は、子宮頸管子宮頚管内を泳いで子宮内腔子宮内膣を通り、卵管を通過して卵管膨大部に達する、と多くの過程を踏みます。シリンジ法は直接膣内に精子を注入するため、上記のような通常の過程で受精をします。人工授精は、より受精がしやすいように直接子宮に精子を注入します。)・妊娠率の違い(シリンジ法は膣内に採取したばかりの精子を注入するというやり方のため、自然妊娠と同じ程度の妊娠率で1周期あたり20~30%ほどです。人工授精は、1回の施術あたり5〜10%ほどと言われています。)

Q5.シリンジ法と人工授精の費用はいくらですか?

クリニックによって差はありますが、人工授精の場合、検査や薬剤の費用を含め平均で約10,000円程度が相場と言われます。
一般治療では、年齢制限なしに保険適用になっていますので、人工授精は何歳でも何回でも実施できます。
また、人工授精で妊娠に至った方の半数近くが3回以上行っているというデータもあり、複数回繰り返すことも視野に入れ費用のことを考えていただきたいですね。

本記事の執筆者

ベビーライフ研究所編集部

ベビーライフ研究所編集部
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本記事の監修者

大石 明代(おおいし あきよ)
看護師歴17年。
正看護師。静岡県出身。
静岡県立国際関係学部卒業。
社会人経験を経て看護学校に入学。卒業後、看護師となる。
現在産婦人科クリニックに勤務。自身も不妊治療経験者。
高度生殖医療は卵子と精子を出会わせてくれる手段であり、大切なのは自身の身体の力を高めること。
言われるがままの不妊治療では心身共に疲弊し、金銭的な不安も大きくなることから、妊娠の土台となる普段からの食事や運動、睡眠、心の持ち方が大事と考え、妊娠する力を高めるための発信の他、マンツーマンでの講座や施術を行っている。

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