わかりやすい妊娠のしくみ② 「卵子」~妊娠の主役

受精のしくみ第2回目は「卵子」です。
卵子や排卵という言葉はみなさんご存じだと思います。けれど、卵子はいつ、どのくらいの数が作られているのかは意外と知られていないようです。
卵子は始まりはいつ?
卵子はじつは、女性が赤ちゃんとして産まれる前の『胎児』としてお母さんのおなかの中にいるときに作られています。
しかも卵子の大もとの「原子卵胞」という形で、一生分がすでにちゃんとできあがっているのです。
女の子の胎児としてやっと形作られたころから、次の世代を産み出す準備をしているなんて、すごく不思議な感じがします。

卵子の数の変化~一番多いのは生まれる前!?~
下の表1をご覧ください。
なんと、卵子の数で一番多いのは、5~6ヶ月の胎児の時で、500-700万個あるといわれています。
ところが産まれるころには約200万個まで減って、さらに子どもを産める年齢になるころには10-30万個まで減っていきます。
さらに新たに作られることはなく、生理(月経)に関係なく1ヶ月で約1000個が減り続けていくのです。

卵子は選ばれしもの!?
思春期を迎えるまでずっと卵巣で蓄えられていた「原子卵胞」は生理周期とは無関係に活動し始め、1日30-40個、月1000個が育ち始めます。
ほとんどはすぐに消えてしまうのですが、ごく一部が数か月かけて成熟して大きくなります。そのため色々な発育段階の卵胞が卵巣には存在します。
その中で一番成熟した大きな卵胞の中の卵子1個だけが、月1回の周期で卵巣の壁を破って外に飛び出します。これが排卵です。
その卵子も、たまたまそのときの周期に合ったタイミングで発育しているものが選択されるので、エリートが選ばれるといったわけではないのです。
さらに排卵する卵子が決まると、残りはすべて消えてなくなってしまいます。
こうして一生に排卵される卵子は、ひとりの女性の生涯で400-500個といわれています。
卵子とは~生命の原材料のすべてが入っている~
前回「精子」のお話の時には、精子はDNAの運び屋さんと卵子のスイッチをオンにする役割があるといいました。では、「卵子」とは何なのでしょうか?
「卵子」には、「精子」が運んでくるDNAの半分以外の、生命の原材料のすべてが詰まっています。
大きさについても、成熟した卵子はヒトの細胞の中で最大のものです。約0.12㎜と肉眼で見える唯一の細胞です。
以上のことからも卵子は妊娠の主役といえますね。
まとめ
*卵子は胎児のときから作られる
*卵子は増えることなく減っていく
*卵子はタイミングに合った一番成熟したものが排卵される
*卵子には生命の材料のすべてが詰まっている