- 男性妊活
- 医療従事者監修
精子が黄色いのは病気?精液から見る男性の状況【男性妊活】
本記事の監修者
藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
男性のみなさんは、自分の精液の色が普段と違う、なんだか独特と感じたことはありますか?
普段と違う色の精液が出たら、もしかして何かの病気なのでは…と心配になってしまいますよね。
実際に精液の色は、からだの状態や病気によって様々に変化する可能性があります。
今回は、精液の状態から見る男性のからだの状況について解説していきます。
精液は何で構成されているの?
まずは、精液が何で構成されているかについて見ていきましょう。
精液=精子、と考えている方も多いかもしれませんが、実際には様々な物質で構成されています。
まず1番大切な精子ですが、実は精液の中には1%ほどしか精子は含まれていません。
1%と聞くと少ないと思われるかもしれませんが、その数は約1~4億匹ほど。その中のたった100~200匹ほどが卵管まで辿り着くことが可能なのです。
その役割を手助けするのが、精液において精子以外の大半を占める「精しょう」という成分です。
この精しょうは精嚢(せいのう)と前立腺の分泌液で構成されており、例えば精子が動くエネルギー源となる「果糖」や、精液をサラサラにする「酵素」、精子が運動しやすい環境をつくる「クエン酸」などが含まれています。
このように一言で精液と言っても、その構成される成分は様々なのです。
精液の正常な色
精液の基本的な色は白色です。
これは先ほど紹介した精しょうの成分の影響によるもので、精しょうの成分のうち前立腺からの分泌液が白い色をしているためです。
そして精液のほとんどを構成しているのが精しょうのため、この影響で全体的に白っぽくなります。
精液が黄色っぽい原因
正常な精液の色が白であるなら、ほかの色の場合はからだに異常があるサインということなのでしょうか?
例えば白色以外でよく見られるのが黄色い精液です。
黄色の場合はあまり問題がないことが多いですが、中には病気の影響によって黄色くなる場合があります。
まず黄色い精液であまり気にしなくて大丈夫なのは、尿や精嚢液など、もとから黄色い物質の影響を受けている場合です。
長期間射精をしていない場合、溜まった精液に尿や精嚢液などの黄色い成分が影響することがあり、それにより普段よりも黄色くなってしまうことがあるのです。
そして気を付けたいのが、先ほど紹介した黄疸という病気の場合と、膿精子症という症状が出ている場合です。
黄疸とは、肝臓がヘモグロビンを分解する時に生成されるビリルビンが、すぐに運ばれなかったり、代謝がされなかった時にかかる病気です。
また膵臓の何らかの異常によってもなる病気で、皮膚や目が黄色っぽく変色するため、その影響によって精液が黄色がかることもあります。
そして、膿精子症とは精液中に過度の白血球が含まれることを指しており、その影響で黄色くなり、精子の運動率が低下します。
どちらも注意が必要な症状のため、気をつけましょう。
黄色い精液の場合は、クラミジアやヘルペス、淋病などの性病に感染している可能性もあります。
これは性病への感染によって尿道からバクテリアが入り、尿道炎を引き起こすことや、さらに奥まで侵入して前立腺の炎症が起こってしまい、黄色くなることがあるからです。
性病の場合は色が暗めの黄色の場合や、精液からの悪臭などの症状もあるようなので、これらには特に注意しましょう。
黄色以外の精液の原因や病気・症状
ここで、黄色以外の精液が出てきた場合に考えられる病気や症状について、各色ごとに解説していきます。
緑・黄緑色の精液
緑・黄緑色の精液の場合は、先ほど紹介した膿精子症の疑いがあるほか、尿道からバクテリアが入り、前立腺炎が起きた可能性も高いため注意が必要です。
また、前立腺以外の生殖器系の感染症の可能性もあるため、黄色い精液の場合と同様に長引く際はクリニックにて検査を行いましょう。
そして緑・黄緑色の場合も黄色と同様にクラミジアやヘルペス、淋病などの性病に感染している可能性があります。
特に性病にかかった心当たりがある方は、誰かに移してしまう可能性を考え、検査を受けるまで性交渉は絶対にしないように注意しましょう。
黄色が濃いことで緑っぽく見える場合もあるため、黄色だった場合の原因も合わせて覚えておきましょう。
赤・ピンク・茶色の精液
赤やピンク・茶色の精液が出てきた場合は、基本的に血が混ざっていることが多いです。
精液に血が混ざっている状態を血精液症と言い、比較的若い方からご高齢の方まで誰でも起こる可能性のある症状です。
血精液症の多くは突発性血精液症という一時的なもので、前立腺や精嚢の細かい血管からの出血が考えられます。
しかし何か他の病気が原因の二次性血精液症の場合は注意が必要です。
例えば前立腺の炎症や前立腺・尿路結石、肝臓病などの影響の可能性があるほか、まれに前立腺や睾丸などのがんの可能性もあります。
精液が赤いだけではなく、血尿が出る・排尿時の痛み・睾丸、下腹部の痛みや違和感が続く場合はこれらの可能性も考えておきましょう。
また、赤・ピンク・茶色の場合も同じように性病の可能性はありますが、性行為を頻繁に行ったことによる出血で赤くなってしまうこともあるようです。
黒色の精液
まれにですが、精液が黒色になる場合も存在します。
それは、血中の重金属(マンガン・ニッケル・鉛)が高レベルである場合に、その影響で精液を黒く変色させる可能性があるようです。
血中の重金属が高レベルになるのは、汚染された食品や水など、環境要因によるものなので、なかなか黒に変色することはないと思われます。
それゆえに最初はとても驚くと思いますが、上記の理由ではなく出血から時間がたったことによる酸化で赤から黒になることもあるようです。
精液の色に何かしらの異常・違和感があった場合、特にそれが長い期間続く場合は原因となる病気や症状を悪化させないためにも早めの検査を心掛けましょう。
参考:精液の色ってどんな色? ~黄、緑、ピンク、赤、茶色、オレンジ、黒~こんなに変化するのをご存じですか? | 男性不妊・メンズヘルス診療 プライベートケアクリニック東京 (pcct.jp)
精液の色に異常がある場合はどうしたらよい?
ここまで精液の異常について細かく見てきましたが、実際に異常があった場合はやはりまず検査を受けることが大切です。
たしかに原因がそこまで重大ではないケースも多いですし、1度だけの違和感だったら気のせいかな?と思うかもしれません。
ですが、これから妊活を始める方、すでに妊活を進めている方にとって精液のコンディションはとても重要です。
いくら妊活を進めても、そもそも精液に異常がある場合は普通の方法では妊娠は非常に難しく、治療が必要になってきます。
そのためまずは、泌尿器科にかかり診察・検査を行いましょう。そして原因が特定できた場合は速やかに治療に移行しましょう。
また、精液の色は生活習慣によっても変化することがあります。
例えば濃い色の食べ物を食べた際に精液の色が変化する場合や、アルコールの摂取によって変化するなど様々です。
このような場合はまず、人工着色料の入った食べ物を控えてみたり、アルコールを控えるなどの対策をしてみましょう。それによって戻る場合もあります。
生活習慣は精液の色だけではなく、精子そのものの質も左右するため、健康的な生活習慣を普段から心がけておきましょう。
郵送で精子検査
精液の色についてや、精液の病気については郵送での精子検査では実施できませんが、精液の量・精子の数・精子の正常形態率など、精子の現状についてとりあえず検査だけしてみたい、または仕事などで忙しく、クリニックに行く時間がなかなかとれないという方は、郵送にて精子検査を行うことも可能です。
方法も比較的簡単で、基本的には自宅にて精液を採取し、それを郵送するだけです。
精子検査の種類にもよりますが、郵送後1週間ほどで結果を知ることができるものもあり、結果もメール等で簡単に確認することが可能です。
精子検査は値段によって調べられる項目が違ったりするので、まずは自分の何を知りたいのかを定めて、自分に合った検査を選びましょう。
これから妊活を始めるからいまの自分のからだの状態を知りたい、クリニックでの受診は少しハードルが高いという方はぜひ試してみてください。
詳しい郵送での精子検査についてはこちらをご覧ください。
黄色い精子についてのまとめ
男性の精液やそれに関する異常は、基本的に目で見てもわからないものがほとんどです。
そんな中で精液の色の異常は、数少ない目に見えるサインでもあります。
最初は普段と違う色に驚いてしまうと思いますが、早期の検査・原因の発見は妊活においてとても大切な要素です。
よりよい妊活のスタートを切るため、スムーズに妊活を進めるためにも、今回紹介したようなからだからのサインは見逃さないように気をつけましょう。
本記事の執筆者
ベビーライフ研究所編集部
ベビーライフ研究所では、妊活に取り組む多くのご夫婦に向けたタイミング法キットや栄養補給サプリメント等の商品を取り扱っています。
私たちが長年培ってきた妊活の知識や経験を活かして、より多くの方に正しい情報を発信いたします。
お得なクーポンを随時配信!
本記事の監修者
藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
生殖補助医療胚培養士資格、体外受精コーディネーター資格を取得。生殖細胞の操作以外にも、患者様夫婦とお話をする機会があり、その際、不要な治療を続けているご夫婦が多いことに気がつき、現在は食事・運動・睡眠の見直しを促す発信をしている。不妊治療はあくまでサポートであり、対処療法に過ぎないため、本来の身体の機能を最大限発揮できるようなポイントを、ご本人の生活に寄り添った内容でお届けしている。