- シリンジ法
- 医療従事者監修
不妊治療にシリンジ法(タイミング法)を取り入れる方法や時期は?
本記事の監修者
藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
近年は様々な不妊治療が確立されてきたことで、どなたでも妊娠を目指しやすい環境になりつつあります。
ですが不妊治療は種類によって高額なものもあり、続ける期間が長くなるほど経済的にも精神的にも負担が増えやすいです。
そんな中、比較的安価で簡単に試しやすいとして注目されているのが「シリンジ法」と呼ばれるものです。
今回は不妊治療を進めるカップルの皆さんの手助けになるよう、シリンジ法についての解説に加え、そのほかの不妊治療のステップや費用についても紹介していきます。
不妊治療の方針で悩んでいませんか?
自然妊娠がなかなかうまくいかず不妊治療に移行したいけど、何から始めればいいのか…治療費が高くならないか…と悩んでいる方も多いと思います。
まずは不妊治療の平均的な費用について見てみましょう。
不妊治療は金銭面の不安・精神的な不安がつきもの
不妊治療の中でも体外受精・顕微授精を指す特定不妊治療にかかる1周期当たりの平均的な費用は以下の通りです(保険適用。採卵数、胚培養数により変動あり)
採卵~新鮮胚移植~妊娠判定まで | 採卵~凍結胚移植~妊娠判定まで | |
体外受精 | 約15万円 | 約20万円 |
顕微授精 | 約20万円 | 約25万円 |
この新鮮胚移植と凍結胚移植の違いは、新鮮胚移植が採卵から3~5日後に受精卵を子宮に戻す方法、凍結胚移植が数年後に戻す方法になります。
どちらの方法でも1周期で約20万程度かかってしまうため、経済的な負担は大きくなってしまいます。
また高額な治療費であること、これらの不妊治療を受けたからと言って必ず妊娠できるわけではないことなどが精神的な負担にもなりかねません。
不妊治療のステップ
不妊治療に移行したからと言って、最初から上記のような治療をしなければならないというわけではありません。
基本的な不妊治療のステップは以下の通りです。
①タイミング法 → ②人工授精法 → ③体外受精・胚移植 → ④顕微授精
ここで各ステップについて解説していきます。
タイミング法
タイミング法とは、妊娠しやすい性交のタイミングを医師に指導してもらう方法で、基本的に1番最初に行う不妊治療です。
妊娠しやすいタイミングはクリニックでのエコー検査や尿検査から予測するほか、自宅で基礎体温表をつけることでもある程度予測することができます。
タイミング法は精子や卵子に直接治療を施すわけではないため、あくまで自然妊娠の確率を引き上げる方法となっています。
タイミング法についての詳しい情報はこちらから
人工授精法
人工授精法とは、女性の排卵期に合わせて、洗浄濃縮した男性の精子を子宮内に直接注入する不妊治療です。
自然妊娠では膣に精液が入りそこから子宮に到達するのに対し、人工授精では直接子宮に精子を注入するので、精子と卵子が出会う確率が自然妊娠に比べて高いです。
また、精子減少症や精子無力症など、男性不妊症状がある場合や、性交障害や勃起不全などで性交渉が行えない方に向いた方法となっています。
費用としては1周期当たり1~2万円(診療・検査・薬代と人工授精1回)と、比較的安価で進めることが可能です。
体外受精・胚移植
人工受精法でも妊娠ができなかった場合、次に体外受精にステップを移行します。
体外受精は、精子だけではなく卵子も採取し、培養液の中で先に受精させ、その後女性の子宮へ胚移植を行う方法です。
こちらは体内での受精の段階を飛ばすことができるため、卵管性不妊や受精障害がある方に向いた方法となっています。
顕微授精
顕微授精の工程の多くは体外授精と同じですが、精子と卵子を受精させる過程が違います。
体外授精は培養液の中で自然に受精するのを待つのに対し、顕微授精は細い針を使って精子を卵子の中に直接注入します。
そのため精子の数が少ない場合や、体外受精では受精しない場合に行われる方法です。
以上のようなステップで基本的に不妊治療が進められていきますが、体外受精と顕微授精は費用が高く、また体外受精に比べて顕微授精はさらに費用の掛かる方法となっています。
タイミング法をこれから始める方にシリンジ法がおすすめ!
不妊治療として多くの人が最初に始めるタイミング法ですが、シリンジ法を取り入れることでより進めやすくなる可能性があります。
シリンジ法は性交渉を用いず妊娠を目指すことのできる方法です。
そのため例えばタイミング法において、妊娠しやすいタイミングで疲れて性交渉を進められない、射精までいくことができない、といった場合でも妊娠を目指すことが可能です。
またタイミング法の成功率を上げるためにも、まずは病院での診察や検査、医師との相談を行い、自身とパートナーのからだの状況を把握することが妊活においてとても大切です。
詳しい体験談はこちらをご覧ください。
シリンジ法とは?
ではそのシリンジ法とはいったいどのような方法なのでしょうか?
より詳しい進め方を見てみましょう。
シリンジ法とは、以下のようなステップで進めていく方法です。
①マスターベーションにより、精液を採取する。
②精液を液状化させるため5~10分程度置く。
③精液をシリンジ容器で吸い上げる
④シリンジ容器を膣内に挿入し、精液を注入する
このような方法のため性交渉を用いず、かつ自然妊娠と同じ工程で妊娠を目指すことが可能な方法なのです。
シリンジ法のメリット
シリンジ法には以下のような多くのメリットが存在します。
- 性交渉を用いず妊娠を目指すことができる
- 痛みがほとんどない
- 妊活のための性交が苦痛になっているカップルの気持ちを楽にする
- 自宅で誰にも見られず、知られずにトライできる
- 不妊治療の中でも比較的低価格のため経済的負担が少ない
シリンジ法は採精~膣内への注入まで全て自宅で行うことが可能なため、ほかの人に知られず進めることが可能なほか、精神的な負担の軽減も見込まれます。
シリンジ法のメリットについてさらに知りたい方はこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。
シリンジ法に向いている人
シリンジ法は以下のような方におすすめの方法となっています。
- 性交時になると勃起状態にならない・保てない
- プレッシャーが強く、妊活・不妊治療だと思うと性交が上手くいかない
- 疲れが溜まっていて、性交する気持ちになれない
- 性交痛がある
- 性交に対して恐怖や嫌悪感がある
- 性交が生理的に苦手
性交渉を用いず妊娠を目指せるという特質上、性交渉が物理的・精神的に進められないという方に向いている方法がシリンジ法です。
シリンジ法に向かない人
上記のような理由とは別に、高齢の方や生殖機能的な問題がある方にはシリンジ法は向いていません。
シリンジ法はあくまでも性交渉を用いない「自然妊娠」とほとんど同じ進め方です。
そのため年齢とともに妊娠率が下がってしまっている高齢の方、またそもそも生殖機能に問題があり自然妊娠が困難な方はシリンジ法での妊娠が難しいです。
自身のからだに生殖機能的な問題がないかを明確にするためにも、まずはシリンジ法を検討する前に病院での検査・相談をするよう心掛けましょう。
まとめ
不妊治療は高額、というイメージの方も多いかもしれませんが、中にはシリンジ法のように比較的安価で行うことのできる方法も存在します。
ですが年齢・生殖機能的問題などから向いていない場合もあり、それを知らずにシリンジ法に取り組んでも妊娠がなかなかできず、貴重な時間を無駄にしてしまう可能性もあります。
あくまでも目指す先は妊娠と出産。
まずは医師としっかりと相談し、自身に合った不妊治療を選択しましょう。
また現在は不妊治療に保険を適用できる場合もあるため、経済的にも、そして精神的にも負担を減らせるよう妊活に取り組んでみましょう。
最後におすすめのシリンジ法キットを紹介します。
シリンジ法キットには様々な種類があり、デザインや機能性にも細かな違いがあります。
そんな中でデザインや使いやすさでおすすめなのがシリンジ法キットmeeta(ミータ)です。
詳しくはこちらで紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
本記事の執筆者
ベビーライフ研究所編集部
ベビーライフ研究所では、妊活に取り組む多くのご夫婦に向けたタイミング法キットや栄養補給サプリメント等の商品を取り扱っています。
私たちが長年培ってきた妊活の知識や経験を活かして、より多くの方に正しい情報を発信いたします。
お得なクーポンを随時配信!
本記事の監修者
藤本 彩巴(ふじもと あやは)
胚培養士。宮城県出身。
山形大学農学部食料生命環境学科卒業。
生殖補助医療胚培養士資格、体外受精コーディネーター資格を取得。生殖細胞の操作以外にも、患者様夫婦とお話をする機会があり、その際、不要な治療を続けているご夫婦が多いことに気がつき、現在は食事・運動・睡眠の見直しを促す発信をしている。不妊治療はあくまでサポートであり、対処療法に過ぎないため、本来の身体の機能を最大限発揮できるようなポイントを、ご本人の生活に寄り添った内容でお届けしている。